連携エンジンと共通機能が連携のポイント
また、これからの連携は、MIJSが提唱しているように「SOA(サービス指向アーキテクチャ)をベースとしたビジネスプロセス統合でなければならない」と松田氏は強調する。
「SOA連携において、大きな役割を果たすのが、連携エンジンとなるEAI(Enterprise Application Integration)とその共通機能だ。また、マルチプラットフォームも重要となる」(松田氏)
さらに同氏は、連携エンジンのポイントとして次の5つを挙げている。
- 連携は標準モジュールで対応(トランザクション、リアルタイム連携)
- システム更新の独立性を担保
- マスタの標準化、共有化
- 操作性の統一(共通機能として提供)
- 日本版SOX法への対応(整合性、即時性、双方向性の確保)
加えて、共通機能としては、ワークフロー、メール、分析、帳票、検索などを挙げ、承認ワークフロー機能(受注/発注)に基づく業務統制を実現できる実例を紹介した。さらに、ウイングアークのBIツール「Dr.SUM」との連携により、実績データを元に自在な観点からクロス集計を実施し、エンドユーザー部門において非常に容易な操作で実行可能となる例も示した。
内部統制の目的は儲かる仕組み作り
製造業における業務は、戦略/経営計画の立案に始まり、商品企画および設計/開発、サプライヤーからの資材の購買、製造、そして顧客への販売という一連の流れで構成されている。
「こうした、製造業における一連の業務の流れをモニターする機能が、原価と品質だ。そして、この原価と品質は財務会計によって管理される。これからの製造業の基幹システムでは、生産/販売管理と財務会計の有機的な連携が非常に重要になっている」(松田氏)
同氏はさらに、内部統制について次のように言及する。
「内部統制の目的は、業務の有効性および効率性を上げて、儲かる仕組みを作ることにある。この仕組み作りの大きなポイントが原価のモニターだ。競争が厳しくなればなるほど、今年は100円で作ったものを、来年はどうやって80円、70円で作るかという原価の可視化が大切だ」
セッションの終盤、「日本版SOX法への対応のポイントは、財務会計の健全性の担保です」と述べる松田氏は、財務会計の健全性を担保する観点で重要なこととして、IT業務処理統制を挙げる。
IT業務処理統制を実現するポイントは、次の4つ。
- 財務会計の正確性
- 伝票などに欠落しているものがないという網羅性
- 権限設定や承認ワークフローなどの正当性
- 維持継続性
最も重要なのが、財務会計の正確性から網羅性、正当性までが日々継続されていくための維持継続性だという。
松田氏は、この維持継続性について、「データのリアルタイム連携、つまり整合性、即時性、双方向性などによって実現されるもの」と話している。