「ちょっといいプロジェクトマネージャー」になるにはどうすればいい? - (page 2)

土田浩之(ウルシステムズ)

2007-02-21 18:20

PMが目指すべき姿

 PMとしてチームの相乗効果を発揮するにはどうすればよいのでしょうか。まずは、PM自身が「オールラウンドプレーヤー」でないことを理解する必要があります。

 一般にPMは、経験が豊富で能力もあり責任感が強いという人がほとんどです。仮にPMである自分と同じ技術者が何人もいるチームがあればプロジェクトは上手くいくと考えているPMもいるでしょう。しかし現実は違います。

 昨今の技術の進歩と専門領域の拡大の速さを考えた場合、プロジェクトの規模や期間、内容によってメンバーだけでは解決できない課題が出てきます。スケジュール的な余裕があれば、課題によってはプロジェクト内でメンバーのスキルアップを図ることで対応可能な場合もありますが、プロジェクトの多くはスケジュールに余裕がなく、メンバー内で対応できないことがほとんどです。外部に支援を仰ぐにも時間的な余裕がなければ適任者を見つけにくいため、課題は対策がとられることなく問題となって表面化してしまいます。

 「ちょっといいPM」は、リスクに対する感度が鋭く、問題として表面化する前に対策が取れるPMであり、そのためにはチーム以外の外部の力も活用することができるPMです。

 メンバーの適正とスキルを見極めたうえで、「事前」にSEやアーキテクトを補強するだけでなく、プロジェクトの進行状況に合わせてリーダーやサブリーダー、上位管理者の登用を臨機応変に行うことが重要です。プロジェクトの成功に必要なメンバーを、プロジェクトの開始から終了まで常に抱えることはできません。プロジェクトの進行に合わせ、「今のメンバーならどこまできるのか」、「いつ頃どういったメンバーを補充する必要があるのか」といったことをPMは常に考え、時期を見て行動を起こす必要があるのです。

 1つのプロジェクトが終了するまでには、適宜何人ものメンバーがチームをサポートしたりリードしたりといった形で加わることになりますが、期間や人数を最適にコントロールすることが、費用の面だけでなくチーム内の相乗効果を持続させるためにも重要です。

 では、どうすれば問題になる前のリスクに対してすばやく対応することができるのでしょうか。答えは、PMになる前に関わったプロジェクトの経験にあります。特に若い間に経験したプロジェクトの成功体験は、その後に関わるプロジェクトにおいて大きなプラスになります。

必要なのは「成功体験」

 システム開発に関わる中で必要とされる要素の1つに、成功体験があります。順調に進むと思われたプロジェクトでも、何かが原因で流れが変わる可能性があるため、PMとしては今のプロジェクト状況を過去の経験に照らし合わせて常にチェックし、状況に応じて素早く対策を講じることが重要です。そのためには、判断基準となるしっかりとした成功体験がPMには必要なのです。

 ベースとなる成功体験があれば、関わっているプロジェクトが失敗しそうになった場合でも状況をいち早くキャッチして対策を打つこととができます。成功体験が多ければ多いほど情報をキャッチする感度と対策の柔軟性が増すのです。あなたがもし若い技術者ならば、まずは与えられた仕事をこなすことで、プロジェクトの一部分でも成功を経験することが重要です。成功を経験することで、プロジェクトのチーム力を理解することもできるはずです。

 仮に失敗してしまった場合でも、何が問題だったのかを後日冷静に分析してみましょう。失敗を未然に防ぐにはどうすれば良かったのか、どのタイミングで誰に相談すべきだったのかなどを整理しておくべきです。失敗を後日振り返ることで、客観的に問題を捉えやすくなり、貴重な経験として今後に生かせるはずです。

 もう1つシステム開発に関わる中で必要とされるものに「柔軟性」があります。少し補足するならば、「俊敏性のある柔軟性」です。前述した成功体験を含め、ある程度の経験を積んだPMの中には、その経験内での作業に固執してしまう方もいます。しかし、技術の進化は早く、開発のスタイルやプレーヤーも常に変化しています。自ずと過去のプロジェクト経験がそのまま使える期間も限られてきています。常に時代に合うものを取捨選択し、過去の経験が裏目にならないようにすることがシステム開発に関わる現場には求められています。

ちょっといいPM

 みなさんの身近にいるPMは「ちょっといいPM」でしょうか。また、自分自身はどうでしょうか。

 仮に現在関わっているプロジェクトにおいて、「ちょっといい」と表現できるようなPMが見当たらなくても、その境遇を哀れんではいけません。なぜなら、プロジェクトに関わっているみなさんは既に一緒に山を登っている途中だからです。1人1人がプロジェクトの成功を目指すパーティーのメンバーとしてPMを助けてあげてください。「ちょっといいPM」を目指してプロジェクトに関わることで得られる経験は、後日きっとみなさんを「すごくいいPM」にしてくれるはずです。

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