産官コミュニティの連携が今年のカギ
石井氏は2004年より、OSS推進フォーラムのサーバ部門に参加しているが、最近活動を始めたIPAのセキュリティ部門のワーキンググループにも所属している。ここでは、開発者がソースコードを読んで気づいたことをブログに書き込むという、ユニークな活動を行っている。この取り組みは、すでに2バイト文字に関連する不具合を発見するなどの実績を挙げている。
石井氏は、「これは日本ならではの実績です。しかしユニコードであればラテン文字にも影響が出てくることもあり、早速パッチが開発されました」と話している。
2007年のSRA OSSの取り組みとしては、「もっとコミュニティにコミットしていきたい。特に開発に参加していきたい」と石井氏。
SRA OSSでは、若いエンジニアを次々にコミュニティにデビューさせているが、これは同社が技術力を高めるとともにコミュニティを活性化していく取り組みの一環でもある。OSSの利点は当然のことだが、ソースコードが公開されていることだ。だからこそ、若いエンジニアはそれを読む訓練を受けて技術力を高く保たなくてならない。ディストリビュートされたものをインストールするだけでは技術力は低下してしまう。
石井氏は、「2007年のOSS市場は、いよいよ大規模システムに応用するための信頼性を評価する段階に来たと考えています。今までは、“導入しても安心な機能と性能”をアピールしてきました。今後は、エンタープライズレベルで使い込んで、課題を洗い出していくことが必要だ。そういうフェーズではないでしょうか」と話す。
その意味では、政府もOSSに本腰を入れている。ただ、まず官公庁で大規模システムを導入し、民間に裾野を広げようというような動きも見られるのも事実だ。石井氏は、「まずはコミュニティを大切にしてほしい。何といっても開発しているのはコミュニティのメンバーなのですから。税制であるとか、どのような形でもよいですから“政府がコミュニティを支援している”という実感があればますます市場は活性化するのではないでしょうか」と話している。
