Adobe Systemsが、Googleなどの競合各社を追従すべく、人気の高い画像編集アプリケーション「Photoshop」のウェブアプリ版を6カ月以内にリリースする計画を進めている。同社最高経営責任者(CEO)Bruce Chizen氏が米国時間2月27日に明らかにした。
これは、広告入りのオンラインサービスを投入して既存製品を補完し、コンシューマー市場におけるシェア拡大を目指す大規模な措置の一環だと、Chizen氏はCNET News.comに語っている。
Chizen氏によると、メディア共有サイト「PhotoBucket」で提供されるウェブベースのビデオ編集ツール「Adobe Remix」とともにウェブアプリ版Photoshopの土台をAdobeでは築いていたという。
Adobe Remix同様、ウェブアプリ版のPhotoshopは、通常のPhotoshopや「Photoshop Elements」など、同社のより洗練された画像編集ツールの無償入門版として提供される。Chizen氏は、Photoshopサービスではネット広告で収益を得る考えだという。
「これは(Adobeにとって)新しいことだ。Googleなどがほかの分野で実現しているのを目の当たりにし、自分たちが得意とする分野では他社に先行したいとの思いがあるため、敏感になっている部分だ」とChizen氏は語っている。
Chizen氏は、Adobe Remixとウェブアプリ版Photoshopを、製品構成にホスティングサービスを組み入れるための大規模な措置の一環だと説明した。
Microsoftと同様、AdobeのビジネスもユーザーのPCにローカルにインストールされるパッケージソフトウェアが中心になっている。同様に、オンラインサービスによるAdobeのビジネス多角化計画は、ソフトウェアとサービスを組み合わせて投入するMicrosoftの大規模な取り組みを反映したものともなっている。
オンラインアプリケーションの機能が充実するなか、Adobeは製品ポートフォリオでWebサービスが補完できる分野を探していると、Chizen氏は語っている。
Adobeでは、「Adobe Photoshop Lightroom」のようにウェブを使ってデスクトップ製品に機能を導入する「ハイブリッド」製品に加え、完全なホスティングアプリケーションも提供する意向だと、同氏は加えた。
「この分野に顧客がいることは認識している。また、彼らが必ずしも直接対価を支払わないであろうことも認識している。しかし、売上モデルに広告を使うことができる。Googleは、特定のアプリケーションではこれがうまくいくことを立証している」とChizen氏は語っている。
実際、Adobeのオンライン分野参入は、Googleとの競争激化に伴う消費者の期待感と深い関係があると、Burton GroupのアナリストPeter O'Kelly氏は語る。
O'Kelly氏は、「デジタルメディアにおける消費者の使い勝手の観点から、競争力や顧客にとっての買い得感の面でも、Adobeはどうしても製品とサービスの包括的サプライヤーになる必要がある。Adobeにそれができないと、今後が懸念されることになる」と語っている。
Googleの「Picasa」の最新バージョンはデスクトップアプリケーションとなっており、写真をウェブに発信する機能を用意している。また、Photoshopファイルも読めるようになっていると、O'Kelly氏は指摘した。