OSS分野におけるNTTデータの強みは、OSS環境に必要なスタックを整備し、トラブルが発生した場合でもきちんとサポートができる環境を実現したことだ。たとえば、セキュリティパッチが公開された場合でも、現在動いている環境を変更したくないと顧客が思った場合には、別の方法でセキュリティ上の問題を解決できる経験やノウハウを有している。
今後はさらに、インフラの部分において、仮想化やSOA(サービス指向アーキテクチャ)などの技術に注目していくという。山田氏は、「世の中に公開されている仮想化やSOA関連のOSSの検証はスタートしています。変化の激しい分野なので、今後の状況を見極めながら取り組んでいきたいと考えています」と話している。
ユーザーの価値向上と人材育成が日本OSS推進フォーラムの鍵
日本OSS推進フォーラムにおけるNTTデータの取り組みとしては、現在、山田氏が日本OSS推進フォーラムのステアリングコミッティ座長を務めている。また、サーバ部会、デスクトップ部会、人材育成部会における、さまざまなワーキンググループのリエゾン的な役割を担当しているNTTデータ社員もいる。
「3年前にOSSへの取り組みを開始したときから、他の会社の人たちを一緒に作業をすることで自社だけではできない発見がありました。こうした取り組みは、エンタープライズ分野にOSSを普及していく上で大きな意味があったと思っています。縦割りの組織になりがちな中で、技術者と技術者が会社の枠を越えてコミュニケーションできることには大きな価値があります」(山田氏)
市場が小さなうちは、いろいろな会社がバラバラに活動していても大きな動きにはなりにくい。そこで、みんなで力を合わせて取り組みましょうというのが発端だった。山田氏は、「世の中がどう評価しているかは分からないが、オープンソースに対して熱い思いをもってくれている人たちがたくさん集まってくれたおかげで、私自身はうまくいったのではないかと思っています」と話している。
今後の日本OSS推進フォーラムの取り組みについて山田氏は、「よく“ベンダー寄りの集まり”と言われることがあるので、ユーザー側にどのような価値があるのかが分かりやすくなるような方向に活動内容を変化させていくことが必要だと考えています」と話す。
「今後も、いろいろな人たちが競争と協調を合言葉に活動し、協調分野ではお互いに協力し合っていくことが重要だと思っています。たとえば、人材育成の分野では、大学や高校、専門学校などで、企業で即戦力になる人材をいかに育てていくかが、大きな課題のひとつとして挙げられます」(山田氏)
