ソフトウェア部門日本代表は北大大学院生のチームに--マイクロソフトStudent Day

藤本京子(編集部)

2007-03-25 22:32

 マイクロソフトは3月25日、大阪市内にて「The Student Day 2007」を開催した。The Student Dayは、学生の持つ可能性を引き出し、世界をリードする人材を日本から発掘、育成するためのイベントで、2004年より毎年開催されている。東京以外の地区で開催されたのは、今回の第4回目が初めて。

 The Student Dayは、全世界の学生を対象としたIT技術選手権「Imagine Cup」のソフトウェアデザイン部門の日本代表チームを決定する予選大会でもある。代表チームは、8月に韓国にて開催される世界選手権に出場する。

 国内最終予選会に出場したのは、北海道大学大学院の高田祐輔氏をチームリーダーとする4名グループの「SAPPORO 2丁目」、電気通信大学の足立博氏率いる2名グループの「EMET」、北海道大学大学院の下田修氏率いる4名グループの「Team Someday」の3チームだ。SAPPORO 2丁目は、カウンセラー教育支援システムの「ラポール」を披露し、EMETは生徒同士の教えあい促進システム「Teaching Mileage」を、Team Somedayはデジタルノートシステム「LinQ」を披露した。

 SAPPORO 2丁目のラポールは、チャットによるカウンセリングシステムで、チャットの内容を形態素解析することで相談者の心理状態を図式化する。カウンセラーは、解析された図式を見て、相談者がどの言葉をプラスに受け取り、どの言葉をマイナスに受け取っているのかを理解し、より良いアドバイスが与えられるというシステムだ。

 EMETのTeaching Mileageは、生徒同士の教えあいにより、教えた生徒がマイレージを稼ぐことができるシステム。教えあいした生徒同士はICカードでIDを登録し、教わった生徒がTeaching Mileageのサイトで教えてもらった内容を投稿する。その内容は一般に公開され、閲覧回数に応じてマイレージが加算されるようになっている。

 Team SomedayのLinQは、授業でノートを取る際に特殊なペンデバイスを使って入力し、サーバにそのメモを蓄積するシステムだ。重要点や疑問点などは、単元や時間などの属性で整理される。学習者は、ほかの学習者のメモを見て重要箇所を確認したり、新たな疑問点に気づくことができるほか、教育者も学習者の疑問点を探り出し、授業に生かすことができる。

 審査の結果、日本代表に選ばれたのはTeam Somedayだ。審査結果の発表にあたったNHKエンタープライズ 開発センター デジタル政策 副部長の菊江賢治氏は、「非常に僅差で、審査員によって意見が分かれたが、今後の可能性の高さからTeam Somedayを代表とした。Imagine Cupでは世界の標準にいかに合わせられるかが課題だ。現場での検証も必要となるので、8月の本番までによりブラッシュアップさせてがんばってほしい」と述べた。

 Team Somedayの下田氏は、「研究や論文などの合間をぬって開発を進めるなどの苦労はあったが、ここまで来れて本当によかった。Imagine Cupに向けて、審査員の意見を参考に、今後の解決策を考えたい。また、ノートだけでなく別のシステムにも応用できるようにしていきたい」と、今後の意気込みを語った。

 The Student Dayの企画運営を担当し、今回のイベントで司会進行を務めたマイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 戦略企画本部 アカデミック情報教育推進部 マネージャの田中達彦氏は、「Imagine Cupを目指す学生のモチベーションは年々上がってきているものの、応募の数自体は横ばいで、その他の学生の意識は下がってきているような気がする」と話す。「応募者の伸びが顕著な国も多い。日本人は、自分が優勝できないと感じると応募さえしない傾向にあるようだ」と田中氏は指摘し、より多くの学生に参加してほしいと呼びかけた。

表彰式 日本代表に選ばれたTeam Somedayを中心に、準優勝のSAPPORO 2丁目(左)、3位のEMET(右)、審査員(後列)で記念撮影

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