文書化や更新管理の効率化にVisioとSPSを役立てる
では、なぜ「Visio」なのだろうか。業務フロー図はExcelやPowerPointを使っても書くことはできる。しかし、Visioであればフローチャートを書くための専用機能を持つため使い勝手が良い。また、Visioではシェイプ自体にデータを持たせることができるため、文書の統合的な維持管理をしていく際に有効だ。
すでに、ERP導入の際に業務フローを書くためにVisioを使っている企業もあれば、情報システム部門でネットワーク構成図やシステム構成図を書くにのVisioを使っている企業も多い。Visioの使用経験を持つ企業は、内部統制文書の作成にVisioを活用することに抵抗感がない。使い慣れたMicrosoft Officeとの連携性や共通のエクスペリエンスを考えれば、Visioは有力な選択肢の一つとなるわけだ。
ツールを検討していくうえで同社が目をつけたのが、マイクロソフトが無償で提供したVisioベースのテンプレートだった。これはプロティビティジャパンが提供するExcelベースのRCMテンプレートをもとに、Visio上で業務の各プロセスにリスクやコントロールを紐付け、それをVisioのシェイプに埋め込んで業務フロー図を作成することができるもの。作成した業務フローをもとに、リスクコントロールマトリックスをExcel形式でエクスポートしたり、業務フローの各プロセスに登録した属性を利用して、業務記述書をWord形式で作成することができる便利なものだ。
また、Visioを使うことにより、3点セットを統合して管理できる利点もある。もちろん、業務フロー等の修正作業はExcelでやるよりもVisioの方がずっと容易であり、リスクコントロールマトリックスの修正をExcelで行い、その修正を業務フロー図に反映(IC-Visionにインポート)することもできる。この連携性が管理作業を助ける。
TIS 事業統括本部 産業第1事業部 エンタープライズソリューション部 統括マネジャーである大塚誠治氏は、「一般に、内部統制の取り組みは文書化が最初の課題となるが、その次に作成した文書をいかに管理していくかも重要なポイントとなる。具体的には、内部統制文書を組織の各部署に展開するフェーズがあり、全国各地あるいは海外の拠点における文書管理や進捗の管理が求められ、ルールの徹底や変更等の指示を徹底する仕組みが必要になる。また、拠点からの問い合わせ等が多く発生するため、それに対応する仕組みも必要」と指摘する。
そこでTISでは、今後、内部統制文書の管理と情報共有を支援するソリューションとして、SharePoint Server 2007(SPS 2007)の活用も提案していく考えだ。内部統制構築プロジェクトを支援するツールとしては、TISではプロティビティの社内ポータル製品である「SarbOx Portal」を提供してきた。顧客のほとんどが超大手企業で、サーバ製品の冗長性が求められたからだ。新バージョンのSPS 2007になり、TISが内部統制支援に必要だと考える機能が追加されたことで、中堅企業向けの内部統制ポータルとして提案できると判断したのだ。SPS 2007上で文書のバージョン管理はもとより、進捗管理、情報共有までを行う。