変化する「Notes対Exchange」の構図
Exchange Serverのデビュー当初、その最大のライバルは、当時、企業内コラボレーションのプラットフォームとして大規模な勢力となりつつあった「Lotus Notes/Domino」だった。オブジェクトデータベースをそのコアに持つNotesと、メッセージングシステムをベースとするExchangeとでは、その「グループウェア」としての思想にも大きな違いがあった。
「グループウェアといえばスケジューラや掲示板システム」を思い浮かべるユーザーも多い中で、大塚商会では、そうしたユーザー向けのアドオンとしてポータル製品の「EasyPortal」などを提供し、Exchangeをグループウェアのエンジンとして活用したいユーザーのサポートを行ってきた。
新バージョンにおいても、NotesからExchangeへの移行キャンペーンを展開するなど、グループウェアとしてのExchangeを、Lotus Notes/Dominoの対抗馬に据えようとするマイクロソフトの基本的な戦略は大きく変化していない。しかし、約10年の時間を経て、ユーザー側の意識は少しずつ変化してきているようだ。
IBMによって、今後数年のLotus Notes/Dominoのロードマップが示される一方で、これまで使い続けてきたNotesを引き続き扱える管理者、技術者、アプリケーションベンダー、サポートベンダーの数は徐々に減りつつあるという現状もある。
そうした中で、Notesから別のコラボレーションプラットフォームへの移行を検討するユーザーも少なくはない。ただ、その移行先の候補として挙げられるのは、Exchange単体ではなく、Office SharePoint Serverや、Office Live Communications Serverなどを含めたソリューションであるという。メッセージングシステムとしてのExchangeを基本として、そこに「プラスアルファ」を求める傾向が、ユーザーにはあるという。
「Officeクライアントとサーバビジネスの統合は、ようやく始まった段階。マイクロソフトのソリューションにおける統合の流れの中では、ExchangeおよびActive Directoryがないことによるデメリットが極めて大きい。大塚商会の最大の強みは、マイクロソフトが企業の情報系システムにおいて中心に据えようとしているExchangeとActive Directoryに古くから携わり、その根幹を理解しているところ。そこから、コラボーレーションであればSharePointやLive Communications Server、情報漏えい対策やコンプライアンスであれば、それらに対応したコンポーネントを組み合わせた広範なソリューションを提供できる体制を整えている」(下條氏)