--ちょっと待って。ついていけません。
そうだね、これらの特にビジネスを中心にした分野以外でも、その他にいろんな種類のアプリケーションがある。例を挙げれば、思ったよりよく知っているだろう。Googleに買収されたWritely.comなんかは、Microsoft Wordと似た外観のアプリケーションを提供している。このアプリケーションはGoogleにホストされているから、オフィスにいようと、チベットのインターネットカフェにある見知らぬPCからでも、自分の文書にアクセスして作業を続けられる。これが「オンデマンド」ということの意味なんだ。そして、アプリケーションがオンラインにあって普通は1つのバージョンしか存在しないから、共同作業もずっと簡単になる。ファイルをやり取りする前に、電子メールで相手に使用しているソフトウェアプログラムのバージョンをたずねる必要もない。同じように、Microsoft Exchange、Outlookの予定表、Excelの代わりになるホスト型の機能をユーザーに提供するオンデマンド製品もある。
--ある傾向が見えているね。Microsoftは心配する必要があるの?
オンデマンドベンダーが巨大な市場でほとんど目に入らない存在であったころ、この大企業を築いたCDがある日出荷されなくなるという考えを聞いたとしても、Bill Gates氏は笑い飛ばしていただろう。今では彼が設立した会社も、部分的にホストされるサービスを独自に準備していて、SaaS市場にちょっとつま先を入れてみた、という以上の状況になっている。
同様に、Siebelを所有するOracleや、SAPなどの企業も独自のSaaS製品を投入>しているけど、SaaSの動向の中心的企業と見なされているSalesforce.comなどの企業が、新しいビジネスの収益を圧迫する要因になっていることに対抗することが、その理由の1つだ。
--ほかのメリットは?
もちろんあるけど、各企業がケースバイケースでそれぞれ検討する必要がある課題だね。ただ、ベンダーにとっては、CDが不要で海賊版もない、という大きなメリットがあるので、他の企業がこの方向に進む意味があると考えるきっかけになる。中国や極東地域のように、世界で海賊版が大量に流通している地域では、ソフトウェアの75%以上が本物でないと推定されているので、SaaSが有力な代替策になるんだ。そうした国のオンライン化が進み、ますます高度になるビジネスソフトウェアの需要が拡大してきたときには、SaaSベンダーが列の先頭付近にいるだろうね。
--じゃあそのころには、間違いなくSaaSが広まるの?
期待していいだろうね。アナリストはSaaSの成長についていろいろな意見を持っているけど、見解が本当に異なっているのはSaaSが成長する速度についてだけなんだ。Gartnerなどの一部の企業は、すべてのビジネスソフトウェアの収益のうち、5年以内に4分の1がSaaS製品に流れると述べている。また、2〜3年以内にそうなると主張するところもある。これが急成長分野であるのは確かだ。