--先ほど、「サーチは、ビジネスの一連のプロセスにおけるひとつのアクション」というお話がありましたが、その点では、マイクロソフトにどのようなアドバンテージがあるのでしょうか。
いくつもあります。そのひとつは、SharePointに標準で含まれているビジネスデータカタログのような機能を利用し、業務アプリケーションのデータもサーチが可能な点です。また、サーチの結果を、そのままビジネスインテリジェンス(BI)につなげていったり、最終的には、ワークフローにまで展開するといったことが可能です。単にサーチのためのツールを提供するのではなく、その周辺にビジネスの流れへの展開をサポートする製品群が整っています。
もうひとつは、お客様の中で、プランを立てたり、デザインをしたり、導入や運用を支援するためのサービス部隊がある点です。単に製品のメリットを訴求するだけでなく、そのインプリメンテーションまでを、責任を持ってやっていけるのがマイクロソフトの大きなアドバンテージです。
エンタープライズサーチは、マイクロソフトにとって、極めて重要な戦略のひとつになっています。今年の8月以降は、われわれのイニシアチブのひとつになるでしょう。情報を見つけて、使って、共有するという一連のシナリオを、我々は「サーチ」と呼んでいます。その中核となるのはSharePointであり、フロントエンドにはVistaと2007 Office Systemがあります。我々の持つあらゆる製品を巻き込みながら、それをお客様の業種別のシナリオに組み合わせていくことになります。
--例えば、Windows Live Searchでは、検索自体がひとつのビジネスモデルになっていますが、それは、エンタープライズにも何らかの形で影響を与えるのでしょうか。
広告モデルは、コンシューマーから、せいぜいスモールビジネス、ホームビジネスまでにしか適用できないのではないでしょうか。私が担当しているエンタープライズの世界においては、広告モデルはまず成立しません。現状でも、オフィスからインターネットへの接続を禁止している企業があるくらいです。そこに、仕事を妨げる広告を出すようなことは、あり得ないでしょう。また、そうしたモデルでは、コンプライアンスやガバナンスの観点から、企業のお客様には安心して使っていただけないと思います。むしろ、ライセンス型や使用量に応じた課金といったスタイルのほうが現実的だろうと思います。
--3月5日には、COOとして、元ダイエー、元日本HPの樋口泰行氏が就任されました。彼が来たことで、マイクロソフトのエンタープライズビジネスは、どのような展開をしていくのでしょうか。
樋口は、エンタープライズ、中堅中小、官公庁向けのビジネスすべてを束ねる「コマーシャルビジネス」の担当です。彼とは、日本HPの社長を務めていた時代から協業の経験がありますので、気心は知れています。また、ダイエーの元社長という「ユーザーの経営者」の立場でも、幅の広いお客様との良好な関係があります。二人三脚で、うまくやっていけると思っていますよ。