デルは4月16日、エンタープライズ事業の戦略説明会を開催した。冒頭の挨拶に立ったデル 代表取締役社長のJim Merritt氏は、「2008年度は、お客様、コミュニティ、パートナー、社員という4つの柱にフォーカスし、ハードウェアを販売するのみならず、付加価値を提供できるようにする」と述べた。

日本国内におけるデルの売上は、2004年度から2007年度で31%の成長を遂げている。中でも成長が特に顕著なのは、サーバやストレージ製品などのエンタープライズ分野と、「デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)」などの名称で提供しているサービス分野だ。Merritt氏は、「お客様に信頼されるソリューションプロバイダーとなり、お客様に選ばれる会社となるためにも、これらの分野に注力することは重要だ」としている。
エンタープライズ分野においては、2004年度から2007年度での累積成長率が10%となった。デル アドバンスド・システムズ・グループ本部 本部長 兼 Dell コーポレートディレクターの町田栄作氏は、「常に業界標準のテクノロジを提供し続けていることがデルの強みだ」と話す。「業界の流れも、レガシーシステムから標準技術への移行が進んでいる。この動向は今後も加速していくだろう。つまり、デルにとっての機会も拡大するということだ」と町田氏。

町田氏は、業界標準こそが新たな基準となるとしており、そのための重要な核となるのがパートナーだと話す。そのためデルでは、EMCとストレージ分野で提携したことをはじめ、日本オラクルとの共同営業からエンタープライズ戦略の融合に至るまでの幅広い連携、マイクロソフトと中小企業に向けたIT導入促進、レッドハットとの「Linux on Dell」の推進、VMware製品のOEMによる仮想化ソリューションの提供など、パートナーとさまざまな提携を進めている。
一方のサービス分野は、システム統合やレガシーマイグレーション、新規ITインフラの構築などにおいて、アセスメントから設計、インプリメンテーションまでを行うDPSをはじめ、システム構築後のサポートを提供する「プレミア・エンタープライズ・サポートサービス」などを提供している。この分野での2004年度から2007年度の累積成長率は60%と、顕著な成長を遂げている。
デル ソリューション・サービス・デリバリー本部 本部長 兼 Dell コーポレートディレクターの諸原裕二氏は、他社が提供する同様のサービスとデルとの違いについて、「構築スピードが他社より早いと顧客の間でも言われている。デルは標準技術を採用しているため、サービスも標準化されており、短期でシステム構築が可能な社内プロセスができあがっている。またエンジニアも、ハードウェアをベースとしてOSやミドルウェアをいかに組み合わせてどう効率化すればいいかというスキルを持っており、トータルでの理解が深いのが特徴だ」としている。

デルはすでに、DPSの事業強化の一環として3月28日にVMwareのプリインストールモデルの販売を開始している。こうしたサーバ統合や仮想化の分野でソリューションを強化するほかにも、今後のDPSの展開として諸原氏は、「アーカイブソリューションやセキュリティソリューション、Oracle Gridソリューションなどを強化していく」としている。
また、エンタープライズ・サポートサービスでは、オラクルの一次代理店となることを4月4日に発表しているが、「新たなソフトウェアもサポート拡充したい。また、常駐エンジニアサービスやシステムヘルスチェックなどでプロアクティブなサポートも強化する」と諸原氏。さらには、サポート体制を強化するために、顧客担当サポートエンジニア組織の人員拡充や、テクニカルサポートエンジニアの増員、顧客満足度向上を目的としたタスクチームの編成などを予定している。
Merritt氏は、「エンタープライズ分野とサービス分野は、クライアントビジネスよりも高い成長率で伸ばしていきたい」としており、「エンタープライズ分野は市場の伸びの1.5倍から2倍となる10%から20%の成長率をねらい、サービス分野は市場の伸びの約3倍となる30%から50%の成長率をねらう」と述べた。