万川集海 第16回:風呂はやっぱり外付けに限る--内蔵ディスクと外部ディスクのお話 - (page 2)

川﨑幸之(日本IBM)

2007-05-10 08:00

 次にRAIDの湯と書かれた大浴場を探検する。ここにはRAID温泉の湯船が所狭しと並んでいる。真ん中にあるのは大きなRAID5の湯だな。やっぱり外部ディスク風呂といえばRAID5ぐらいなくちゃいけないな。温泉の効能とは有難いものだ。それにこれなら沢山のサーバが一度に入ってもゆっくり浸かれるのでうれしい限りだ。きっと大型力士サイズのホストサーバや、小さいが大勢でやってくるブレードサーバが一緒に入っても大丈夫なくらいの大きさだ。

 おや、RAID1の湯やRAID10の湯まである。色々な効能がある温泉にどれでも自由に入れるなんてチョット得した気分になる。キャッシュと呼ばれる洗い場も広々としている。これなら体を洗うのも素早くパッパとできそうだ。

 こっちには遠隔コピーの湯というのがあるぞ。これは何十キロも先の別の源泉からお湯が絶え間なく送られてくるようだ。季節によって同期で送ったり非同期で送ったりしているようだ。外部ディスク風呂はたいしたものだ。

 こちらにはドラム缶の形をしたディスク風呂があるぞ、横にボタンがあるのでちょっと押してみよう。すると突然今まであったディスク風呂の横に同じ大きさで湯量も同じ湯船が現れた。ボタンの上にある説明を読むと高速コピーの湯と言うそうだ。これなら全く同じ湯船に浸かりたいというサーバが現れても大丈夫だな。こんな仕掛けまであるとは、今の外部ディスク風呂はなんて凄いのだろう。

 あちらには熱めの高速ディスクの湯があるかと思えば、こちらにはちょっと温めのSATAディスクの湯もある。これなら大勢の仲間と一緒に入っても好みの違いで困ることはないな。こんな贅沢はとてもじゃないが内蔵ディスク風呂ではできない。それに良く考えたら広さも湯量もまとめられるので、各部屋で個別に内蔵ディスク風呂に入るよりお得かもしれない。内蔵ディスク風呂では1回1回湯を抜くこともあるので、こっちのほうが地球に優しい気もする。大勢のサーバで風呂に入るなら外部ディスク風呂に限るってことだ。

効能にあやかる

 今日、企業で使うディスク装置は計算を行うサーバと同じくらい大事なものとなっている。内蔵ディスクは価格的に安いところが魅力だが、サーバの数が増えると管理や投資効率の観点で課題がある。

 これに対し、外部ディスクは単なるデータの保管庫の域を脱し、内蔵ディスクでは実現できなかった数々の機能を実現可能としている。サーバのCPUパワーを使うことなくディスクからディスクへ高速にコピーできる機能や、遠く離れた地点にあるディスク同士でミラーリングを行い、災害時にディスクが壊れてもデータを失わないようにする機能がそれだ。こういった付加価値のある外部ディスクの効能にあやかることで、システムの健康はさらに増進されるのである。

風呂はやっぱり外付けに限る - 川﨑 幸之
第10回筆者紹介風呂はやっぱり外付けに限る

川﨑 幸之 (かわさき たかゆき)
日本IBM フィールドテクニカルサポート クロスシステムテクニカルサポート
職務:お客様の課題を解決するシステムソリューションのデザイン、システム製品の提案を技術面でリード
一言:今や外部ディスク装置は、単なるハードディスクが一杯入る箱ではなく、ストレージネットワークの中ではサーバと同等のシステムと呼ぶべきものに進化しています。コンピュータの専門用語は英字の略語が多くて難しいので、このコラムでは身近な例で外部ディスク装置を使うメリットを紹介しました。ぜひ本文を読んでストレージの世界の楽しさを感じて頂ければ嬉しく思います。

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