--5年前に期待されていたWebサービスって感じだね。SOAって結局そういうことでしょう?
そう誤解されることがよくあるね。SOAの手法は、実際には10年以上前からあったんだけど、ビジネスで広く使われだしたのはごく最近。その理由はWebサービスに関連する標準技術、プロトコル、言語が登場したからで、特にXMLの影響が大きい。Webサービスとは要するに、企業内のいろんなアプリケーションや機能が相互に接続して通信し、SOAで「サービス」を提供できるようにする連係技術のことなんだ。
--SOAには他にどんなメリットがあるの?
独立型のアプリケーションをたくさん開発せずにアプリケーションの機能を再利用すれば、開発コストが減るだけじゃなくて、企業のITインフラが単純になり、ITインフラの柔軟性と機敏さを大幅に高められる。ビジネスプロセスを新しくしたり変えたりしたいときには、SOAではすばやくサービスを適合させられるけど、以前なら既存のアプリケーションを完全に設計し直すか、高額の新しいパッケージを購入していただろうね。
--それなら、別のややこしい略語のEAI(Enterprise Application Integration)とは何が違うの?
いい質問だね。その区別があいまいになっているベンダーやITサービス企業もたくさんある。SOAとEAIは、同じ目標を持つ2つの手法なんだ。多くの場合、いわゆる「唯一の真実」(single version of the truth)をつかむことが目標で、さっき説明した銀行の例に戻れば、顧客についての唯一の視点を手に入れることが目標になる。結論として、EAIにはSOAと似ている点もあるけど、同じものではないんだ。
--SOAを実装するのは簡単なの?
簡単じゃないし、実装すれば組織のIT予算の40%を使ってしまうと予測するアナリストもいる。Gartnerによれば、SOAは2008年までには主流のソフトウェア技術手法となっていて、それまでにSOAへの取り組みを始めていない組織は、競争上不利な立場に立たされるだろうと警告している。
--ユーザーもそう考えているの?
こんな説明でどうだろう。silicon.comのCIO Juryというコーナーで2006年半ばに実施した調査では、3分の2の回答者がSOAプラットフォームに既に移行したか、移行を計画中だと言っていた。特に熱心なのが金融サービス企業で、SOAを採用することは機敏さを高めることと同じだという見解が一般的だった。一方、SOAに夢中になっていないCIOは、「内容以上のマーケティング用語」だと指摘している。