Sun Microsystemsは米国時間5月8日、コンシューマ機器向けのJavaアプリケーションの開発を容易にするスクリプト言語「JavaFX Script」を発表する予定だ。これは、Javaの可能性を十分に引き出し、次世代ウェブアプリケーションにおけるJavaの位置づけを強める試みとなる。
同日サンフランシスコで開幕するJava開発者向けカンファレンス「2007 JavaOne」において、Sunのソフトウェア担当エグゼクティブバイスプレジデントであるRich Green氏がJavaFX Scriptを紹介するとみられている。JavaFX Scriptは、Java対応のPCや携帯機器で動くアプリケーションを書くために簡略化されたスクリプト言語だ。
Green氏はまた、携帯端末メーカーを対象とするパッケージ「JavaFX Mobile」についても詳しく説明する予定だ。同パッケージは、携帯電話との互換性という問題に対処するため、携帯電話間でJavaアプリケーションの移植性を高めるよう設計されている。
Sunの経営陣はさらに、オープンソース化を予告済みのJavaプラットフォームのうち、未公開だった残りの部分をリリースし、Java関連のオープンソースプロジェクトにおける管理モデルの概要を説明する計画だ。
SunはJavaFX Scriptを足がかりとして、セットトップボックスなどの小型機器やPCのウェブブラウザで、Javaの利用を復活させようとしている。こうした用途はもともと、Javaが登場した1990年代に想定されていたものだった。
「これは消費者向け、個人向けのJavaで、企業や法人だけを対象としたものではない。人々が個人レベルで体験したいと望んでいることが、Javaによって強化されることになるだろう」とGreen氏は語る。「当社がリリースするスクリプト言語によって、Javaプラットフォーム向けのコンテンツを制作できる人の数は劇的に増大すると考えている」
JavaFX Scriptは、Javaよりも生産性が高く使いやすいスクリプト言語だが、Javaとの緊密な連携も可能になっている。開発者はJavaFX Scriptを使って、Java対応のPCや携帯電話で動くアプリケーションを作成できる。
SunがJavaFX Scriptのリリースで目指すのは、Java互換アプリケーションの開発者を増やすこと、そして、インタラクティブなユーザーインターフェースを備えウェブと接続するプログラム、いわゆるリッチインターネットアプリケーション(RIA)への関心が高まりつつある状況を利用することだ。
そうすることで、SunはRIAの分野で立ちおくれているという認識に「攻勢をかける」つもりだと、Green氏は言う。現状では、インターネットにつながるこういったインタラクティブなアプリケーションの話題になると、JavaのベンダーよりMicrosoftやAdobe Systems、さらにはいくつかの小規模企業の名前があがることのほうが多いと、調査会社RedMonkのアナリストStephen O'Grady氏は指摘する。
Sunは、JavaFX Scriptのソースコードを公開し、他の企業がそのコードを使用してウェブ開発ツールを作成できるようにする予定だ。また、コンテンツ開発用のスクリプトツールを作成する計画もあるとGreen氏は言う。