同氏は、「現在、Javaコミュニティには600万人を超えるJava開発者が参加しており、これらの開発者がJavaの今後に目を光らせている。そのため、勝手にJavaの方向性を変えるような取り組みは、Java開発者たちが許さないだろう」と話している。
2004年4月には、SunとMicrosoftが和解し、両社のサーバ製品の相互運用性を確立するために協力していくことが発表されたことも、Javaのオープンソース化を加速させる要因のひとつになったといえるだろう。
また、オープンソースにおける複雑なライセンス体系も、Javaのオープンソース化を阻害してきた要因のひとつだった。さらに容易には解決できない問題を、現在のオープンソースコミュニティが抱えていることもGosling氏は指摘している。
「オープンソースコミュニティの問題は、一枚岩の本当のコミュニティではないことだ。いくつかの派閥による対立やライセンスの提供の仕方の違いなど、さまざまな問題を抱えているのも事実だ」とGosling氏。
Sunでは今回、JavaをGPLv2に基づき公開することを選んだが、これに対し「Apacheなどのコミュニティは、我々の選択に不満を持っているだろう。こうした課題は今後うまく解決していくことが必要だ。しかし、すべてのコミュニティを満足させることは難しいので、ある程度の批判があるのはしかたのないことだと思っている」と話している。
今後Sunでは、600万人を超えるJava開発者コミュニティをさらに拡大し、オープンソースとしてのJavaの位置づけを盤石にしていく計画だ。そのための取り組みのひとつとしてSunでは、PHPやRuby、Ruby On Rails、Pythonなどの言語で書かれたアプリケーションをJavaの上で動くようにすることで、これらの開発者の地位向上をJavaコミュニティとして支援していくためのプロジェクトも推進している。
ただし、Javaがオープンソースコミュニティとして拡大し、Java開発者が増えていくことに対しては、Gosling氏にも多少のとまどいもあるようだ。
「私には大学に通っている娘がいる。そのボーイフレンドとJava言語で話しをする可能性が高くなるということは、ちょっと怖い気もする……(笑)」(Gosling氏)