マイクロソフトは5月15日、同社の提供する顧客関係管理ソフトウェア「Microsoft Dynamics CRM」(Dynamics CRM)を利用したビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションとして、「Microsoft Dynamics CRM 分析テンプレート」(CRM 分析テンプレート)を発表した。
CRM 分析テンプレートは、同社のBI製品を活用した分析系CRMを構築するためのシステム基盤。Dynamics CRMをデータソースとした分析用キューブ、ビジネススコアカードおよびKPI、定型レポート、非定型アドホック分析用Excelシート、予測分析用データマイニングモデルなどのテンプレートプログラムとともに提供され、CRMの分析と管理が短期間でできるようになる。
マイクロソフト ビジネスソリューションズ事業統括本部 MSBプロダクトマーケティング本部 製品戦略部長の新保将氏は、ガートナーの調査結果を基に、「低価格で簡単に使えるBIツールが求められている」と述べ、「BIは、特別な人が特別な目的で使うものであってはならない。訓練しなくても、誰もが簡単に使えるものであるべきだ」と主張した。
マイクロソフトが「すぐにでも使えるBI」としてCRM 分析テンプレートを用意したのもこのためだ。これにより、リアルタイム業績管理、非定型アドホック分析、予測分析が可能となる。
リアルタイム業績管理では、「Microsoft Office SharePoint Server」で構築されたポータルページに、KPI(重要業績達成指標)をもとにしたビジネススコアカードをリアルタイムで表示できる。CRM 分析テンプレートでは、売上高や新規顧客獲得数、問い合わせの平均解決時間、サービス契約更新率など31のサンプルKPIと、95の定型サンプルレポートを提供し、管理者向けの業績管理が実現する。
非定型アドホック分析では、「Microsoft Excel」のピボットテーブルやピボットグラフを利用したアドホックな多次元分析環境を提供する。CRM 分析テンプレートでは、68のサンプルメジャーと13のサンプルディメンジョンが、キューブへの接続が定義されたExcelシートとともに提供される。
予測分析では、「Microsoft SQL Server Analysis Services」に含まれているデータマイニングアルゴリズムを利用することで、蓄積された顧客情報の中に規則性を見つけ出し、ビジネスプロセスのパフォーマンス向上につながる提案や意思決定案を生成する。例えば、クロスセル(抱き合わせ販売)やアップセル(上位製品の販売)の機会を知らせる機能や、販売機会につながる可能性が高い見込み客のタイプを分析し、見込み客を自動的に優先付けする機能がある。
CRM 分析テンプレートは、無償の共有ソフトウェアとしてパートナー企業に6月末日より提供される。パートナー企業は、CRM 分析テンプレートを活用して独自のBIソリューションが開発できる。すでに、ベリングポイントとケイ・ピー・アイ・ファクトリーが、CRM 分析テンプレートを使ったソリューションを開発することを表明している。また将来的には、Dynamics CRMのユーザーが直接CRM 分析テンプレートを無償で入手できるようになる予定だ。