仕様公開で製品群の幅を広げる日本IBM--特集:ブレードサーバ市場を探る(3) - (page 2)

谷川耕一

2007-05-23 08:00

「CoolBlue」で省エネルギーを実現

 低消費電力、低排出熱についてもIBMのブレードシステムは優れていると佐々木氏は言う。たとえ熱排出用のファンの性能がよくても、排出された熱を冷やすためにエアコンの出力を上げることになるならば意味がない。トータルで電力消費、排出熱に対応する必要があり、それがIBMの「CoolBlue」というコンセプトとなっている。

 CoolBlueは、データセンターを構成するハードウェアでの対応と、システムの管理ツールでの対応の2つに大別できる。CoolBlue自体は、ブレードシステムに限ったことではない。データセンターやマシンルーム全体を評価し、適宜水冷のラックなどメインフレームでも実績のある適切な対策方法を提案するシミュレーションサービスも提供している。

 ブレードシステムに関連するものとしては、電源ユニットの効率化が挙げられる。電源ユニットは交流から直流に変換するが、通常はこの効率が70%程度しかない。IBMでは電源ユニット自体の設計を見直し、91%の効率化を実現している。さらに、ピーク時の効率化だけでなく、低い出力の際にも効率を上げることで全体の熱発生を抑えることができる。

 先端の興味深い技術としては、ハードディスクの代わりに4Gバイトの「IBM Modular Flash Drive」を採用したサーバがある。フラッシュカードはすべての部品が半導体でできているため高速性能が発揮できるのはもちろん、消費電力もハードディスクの10分の1程度で済むとのことだ。これを搭載したBladeCenterであれば、1台当たりのマシン内部の温度低減効果は、ストレージ部品だけで最大50%となる。さらに、ディスク装置のように駆動する部分がないので、MTBF(平均故障間隔)も16年間と極めて高い。

 これらハードウェア的な効率化をサポートするのが、電力の管理ツールである「IBM PowerExecutive」だ。これは統合管理ツールの「IBM Director」にアドオンで追加でき、システム群の電力消費が把握できるようになる。消費電力、温度に加え、排熱量を監視する管理ツールは他社も提供しているが、多くが現状監視しかできないのに対し、PowerExecutiveは時系列で年間のデータを保持し、消費傾向の分析が可能だ。これにより、従来ならば大きな余裕を持って設計される非効率な構成を、実際の消費電力と温度に基づき効率的なものへと移行できる。

 また、プロセッサに搭載されているクロック数を落とし消費電力を下げる機能にも対応する。PowerExecutiveのインターフェースから消費電力を落とすように設定すると、それに合わせ内部的にCPUのクロックを自動的に調整するのだ。この時にも、過去の消費電力量の平均値やピーク時の値を考慮してクロック数を設定するのではなく、ピーク時の10%増しの電力量になるようにとポリシーベースでの設定が可能となる。このPower Cappingと呼ばれる機能については、近日中に拡張の発表が予定されている。

中長期的な製品戦略がシステム選択の鍵となる

 プロセッサの能力が向上し、それを効率的に利用するには仮想化技術をうまく活用する必要がある。仮想化を進めていくと、ネットワークなどのI/Oへの要求はさらに高くなる。そのため、プロセッサが集約されるブレードシステムに数多くの高速なI/Oを搭載することは、大きな優位性となる。BladeCenterでは最大8つのI/Oのバスを設けることができ、例えばこれで6つのイーサネットと2つのファイバスイッチを1つのシャーシに組み込むことが可能だ。

 I/Oバスの数、省エネルギーへの取り組み、管理性能などのさまざな機能は、旧来サーバ選択のポイントとなっていた処理性能と異なり、同じ基準での比較が難しく、一般ユーザーがどれを選択すればいいか迷うポイントだ。

 「ブレードシステムを選ぶときには、メーカーの担当者を呼んで詳細な説明を聞く必要がある」と、同社 システム製品事業部 Marketing&パートナー営業部 ブランド・マーケティングの澁谷慎太郎氏は言う。確かに、カタログなどのスペック情報だけでは、なかなかシステムの本質的な違いはわかりにくい。特にx86系システムの場合は、顕著な処理性能の差はあまりなく、むしろ管理性能や将来的な拡張性などの中長期的な製品戦略が選択の際に重要となる。こういった利用者視点での情報提供があれば、自社の環境に適した構成が、IBMの数多い選択肢の中から見つかる可能性も高い。

 IDC Japanの調査によると、ブレードシステムの国内販売シェアにおいて、IBMは4年連続でトップの座を獲得している。もちろん、今後もこの領域でのシェアトップを目指していくとのことだが、そのためにはIBMが提供する幅広い選択肢をユーザーが理解し、その中から最適なものを選ぶという動きにつながらなければならない。各社がさまざまな方向から、ブレードシステムの拡張に力を入れている。違いを把握するためには、澁谷氏の言葉ではないが各社の担当者からじっくりと話を聞いてみる必要がありそうだ。

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