“OSSが一番な盛んな県”を目指す新潟から生まれた「Niigata Linux」のこれから - (page 2)

田中好伸(編集部)

2007-05-31 12:54

 その開発方針は「ゼロからは難しいことがあるので、コバンザメまたは他力本願」(同氏)とした。Niigata Linux上で開発したアプリケーションがRed Hat Enterprise Linux(RHEL)での本番運用となることを想定して、RPM Package Management(RPM)系のパッケージ管理システムを利用する既存ディストリビューションをベースにしている。Niigata Linux 1.0の場合、「Fedora Core 3」(FC3)がベースとなっている。

 具体的には、FC3からNiigata Linuxにとって不要なパッケージ、例えばX Window SystemのようなGUIといったものを抜いている。逆にNiigata Linuxに必要なパッケージを独自にビルドして追加している。ApacheやPHP、PostgreSQLなどは、できる限り最新版に近いもので安定しているバージョンを追加しているのである。また、Niigata Linuxのインストーラは、「Anaconda」をグラフィックを差し替えるなどの改造を行っている。

 またNiigata Linuxの場合、LAPPですぐに開発できるようにするための設定ファイルを書き換えるようになっている。httpd.confやphp.ini、postgresql.confなどの設定ファイルに対して、独自の設定ファイルであるniigatalinux-confが最後にインストールされ、各パッケージのpost-inst、あるいはそのツールの最初の起動に書き換えるという仕組みが取られている。このため、niigatalinux-confをアンイストールすると、もともとのディストリビューションやソースパッケージの初期設定に戻すことが可能となっている。

 このようにした開発されたNiigata Linux 1.0は2005年春にリリース。その秋にリリースされた1.1では「Fedora Core 4」をベースに、LAPP向けの主要なソフトが安定版もしくは最新版にアップデートされている。また1.1ではWebminを利用したシステム管理ができるようになっている。前版の1.0では、sshでログイン、コマンドラインで管理することが前提であったために、sshがないと、シャットダウンできないということがあった。Webminを利用することで、WindowsのPCから管理できるようになっているのである。

本番運用に使えるNiigata Linuxに

 そして2006年春には、Niigata Linux 2.0がリリースされている。2.0ではベースをRHEL系の「CentOS 4」にしている。これは、本番環境でのRHELを意識していたことに加えて、CentOSですでに1CDのサーバインストレーションが存在していたこともあったためだ。

 2.0の特徴としては、MySQLが同梱されていることが挙げられる。例えばコンテンツ管理システム(CMS)「XOOPS」のようなLAMPをベースにしたアプリケーションが、多く利用されていることを受けたためである。また2.0では、PHPの開発フレームワーク「Zend Framework」も同梱されている。

 さらに2.0では、本番運用でも使えるようなネットワーク設定がなされている。Niigata Linux 2.0がインストールされたサーバが属するサブネット(ローカルネット)内では、ftpやssh、http、https、DB、Webminなどのアクセスを許可するINPUT CHAINを設定。そしてローカルネット以外からのネットワークからのアクセスに対しては、http、https、smtpのみを許可するINPUT CHAINを設定しているのである。

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