ミッションクリティカル分野で成功するために必要な取り組みを藤田氏は、「技術的な側面と組織的な側面の大きく2つのポイントがあると思っています」と話す。
「技術面では、我々の製品自体がミッションクリティカルな分野に対して、どれだけ対応できているかが重要になります。簡単に言えば、LinuxがUNIXに対しどれだけ競争力を持っているかということです。個人的には、まだまだやることは残っているものの、RHEL 5の登場により、かなりUNIXとの差は無くなってきたと思っています」(藤田氏)
一方、組織的な面では、パートナー戦略の強化や、顧客の顔の見えるサポート体制の確立などによりミッションクリティカル分野を確立していきたいという。
「こうした環境は一朝一夕に実現できるものではないので、時間をかけて信頼関係を築いていきたいと思っています。ただ、すでに国内でもかなりミッションクリティカルなシステム構築に関わっており、全くこれからスタートというわけではありません。公開できれば驚くようなシステムを構築中です」(藤田氏)
レッドハットの強みはサポート力とOSSへのコミット
藤田氏は、レッドハットに入社する前、「日本のOSS市場をどのように見ているか?」と本社の役員に聞かれ、「日本は夜明け前だ」と答えたという。これは、「夜明け前はまだ暗いが、もうすぐ明るくなることはみんな分かっている」という意味だったと藤田氏。この話は、本社の役員には大いにうけたという。
この話を日本のある大手パートナー企業の担当者に話したところ、「“すでにLinuxビジネスは本格化したと自負しているのに、夜明け前とは何事だ”と怒られた経験があります」と藤田氏。その一方で、“レッドハット”という会社名を全く聞いたことがないというパートナー企業の担当者もいた。
「日本市場に限らずOSSの評価は、それぞれの立場によって異なっています。ただし2005年1月にレッドハットに入社したときには、ほとんど理解してもらえなかったし、懐疑的な企業が多かったが、現在ではそうした不安感はなくなりました。現在では、OSSは特別なものではなく、普段、普通に使っているものになっています」(藤田氏)
レッドハットでは今後、「RHEL 5の強化」はもちろん、「ミドルウェアやアプリケーションまで含めたOSSの推進」「サービスの拡張」の3つをポイントに取り組みを推進していく計画。「こうした取り組みをパートナー企業と共に、いかに推進していくかが重要な鍵になります」と藤田氏は話している。
「レッドハットの強みは、サポート力とOSSコミュニティへのコミットです。コミュニティの活動を通じて、そこでの経験とノウハウ、枯れた技術を製品に搭載できることがレッドハットの最大の強みです。こうした取り組みにより、日本のソフトウェア産業の発展に貢献したいと考えています」(藤田氏)