置換もかんたん - 実はこれが一番便利?
最後にもうひとつ例を紹介しておきたい。プログラマブルreplace-regexpを使ってリスト21をリスト24へと変更している。一見するとただの置換のようだがそうではない。この場合はいわゆるスワップ処理をしていることになる。
リスト21 置換対象のテキスト
true false
false false
true true
リスト22 trueかfalseが含まれていれば一致する
Query replace: \(true\|false\)
リスト23 分岐処理を使ってtrueはfalseへ、falseはtrueへ変更している
Query replace regexp: \,(if (string= "true" \1) "false" "true")
リスト24 入れ替わっている
false true
true true
false false
これを置換で実行しようとした場合、典型的には、3回置換することになる。たとえばture→HOGE、false→ture、HOGE→falseといった順でだ。2回で変えようとすればたとえばtrue→false、false→tureのようにすればすべてどっちか片方に変換されてしまう。これがプログラマブルreplace-regexpを使うと一発で完了する。
このパターンもなかなか便利なので覚えておこう。実はこの使い方が一番便利かもしれない。
まとめ:具体的にどういった用途が考えれるのか?
機能拡張されたreplace-regexp関数でLispコードが使えるようになったということは、置換処理で複雑な処理もできるようになったことだ。これまでスクリプトを書いて実施していたような複雑な置換処理をEmacs内部で処理できるというのが効果だが、代表的な使い方としては、既に挙げたようなソースコードのリファクタリングがあるだろう。
複雑な処理を関数として別にまとめておけるので、ソースコードをリファクタリングする処理を作成しておき、適度にreplace-regexp経由でリファクタリングを行うというわけだ。
この、置換処理を外部記憶に保持しやすくなったというてんが最も評価できるところだろう。Emacsで培ってきた置換ノウハウを貯めておいて必要になったらロードして使う。プログラミングのリファクタリングに限らず科学技術計算の数値処理などにも使える。ノウハウを関数として蓄積しやすいのも利点だ。強力な機能なので、是非一度試してみて欲しい。