OSS導入の切り札「SpikeSourceコアスタック」の真価に迫る--第4回:より強固なパートナーシップを形成していくNECとSpikeSource両社における事業戦略

構成:神永裕人

2007-06-21 12:00

 中堅・中小(SMB)市場向けのOSSソリューションとしてNECが提供している「SpikeSourceコアスタック」。その開発元である米SpikeSourceのCEOであるKim Polese氏が5月末に開催された「LinuxWorld Expo/Tokyo 2007」に合わせて来日した。そこでアライアンスパートナーとして事業展開するNECとの現状、今後の計画や期待される点などを伺った。

NECとのパートナーシップ形成に至る経緯

 NECがSpikeSourceとの提携を発表したのは昨年10月のこと。パートナーとしてNECを選んだ理由をPolese氏はこう説明する。

 「第一に、幅広い顧客基盤を築いていた点が挙げられます。中堅・中小企業からワールドワイドに事業展開する大企業に至るまで、NECでは多岐に渡る顧客との取引を持つ点にアライアンスパートナーとしての魅力を大いに感じました。一方、SpikeSource ではSMB市場をメインに事業展開しております。SMB市場は成長が速く、変化も激しいという特長がある中で、日本国内でも多大な実績を持つNECとパートナーシップを組む事により、日本のSMB市場に素早くSpikeSourceを浸透させ、更には両社にとってメリットとなるシナジー効果が期待できるのではと考えたのです。」

 これに加え、世界的に企業ブランドが確立されているグローバル企業である点や、開発に関する実績を積み上げてきた点、技術資産を所有している点などもNECの魅力であるとPolese氏は語る。

 「NECでは、5年以上も前からOSSに対し積極的な投資と様々なリソースを投入しています。OSSをエンタープライズ向けにすぐに利用できる形で提供してきたという実績においても、日本でOSSビジネスを展開する多くの企業とは一線を画していました。」とPolese氏は付け加える。

 提携発表から約8ヶ月がたち、「SpikeSourceコアスタック」を核にしたNECのOSSビジネスは本格的に動き出そうとしている。この期間中、NECではSMB市場におけるOSSビジネスに向けた組織体制の整備、「SpikeSourceコアスタック」の市場へのリリース、日本語ドキュメント類の拡充といった活動を着実に行ってきた。

 こうした成果に対し、Polese氏は次のように語る。「当初の予定通り、NECとのパートナーシップは正解でした。NECがSpikeSourceコアスタックのセールスやマーケティングのために広範に、そして真剣に取り組む姿勢に感謝しています。また、技術のレベルではNECのエンジニアがシリコンバレーに常駐し、当社のエンジニアたちと様々な面でコラボレーションが始まっています」。

 コラボレーションの例として挙げてくれたのは、SpikeSourceコアスタック」のローカライゼーション。NECとSpikeSourceの開発チームが協力しながらアプリケーションの日本語化に取り組んでいるという。最新のSpikeSourceコアスタックをNECのエンジニアが実際に使ってみて、問題点や改善点をSpikeSourceサイドに直接フィードバックしたり、日常的に意見交換を行ったりすることで、プロジェクトは確実に進展しているようだ。セールスやマーケティングはもちろん、技術の面でも積極的な協力関係をこれからも維持・発展させていきたいとPolese氏は語る。

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