サンのブレードサーバのライバルは自社のラックマウントサーバ--特集:ブレードサーバ市場を探る(7) - (page 2)

谷川耕一 2007年06月20日 08時00分

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ブレードではなくモジューラ型

 サンではこのサーバの形態を、ブレード型ではなくモジューラシステムと呼んでいる。サーバモジュールの形態は「少し大きなブレード」と表現しても間違いではないが、その成り立ちに大きな違いがあるという。

 「一旦、電力、演算能力、記憶装置、冷却、I/Oなどサーバに必要なものをばらばらに展開し、それを必要に応じ適切に組み直したもの、これがモジューラコンピューティングだ」(的場氏)

 ブレードという限られたスペース内に、いかに効率的にサーバ構成要素を詰め込むかという発想ではなく、サーバに必要な機能をモジューラという単位に分解し、それぞれをどの単位でどういう割合でもつと効率的かつバランスのとれたシステムとなるかをデザインしたのだ。これにより、各モジュールは冗長性を確保しながら適切な性能、ライフサイクルで稼動できる。

 「サンにはブレードだから特別という考えはない。主な市場は大規模、エンタープライズであり、そこでの要求に応えることが重要で、それに対応した機能を取り入れている。必要なサーバの数が多い場合、ブレードのほうが効率的になる。現状、各社からのブレードサーバのメッセージで、市場が複雑になっているようにも思う。サンでは、単純にラックマウント1台をブレード1枚に置き換えて考えてもらえればいい」(的場氏)

 このモジューラシステムのターゲットは、企業のバックエンドシステムだ。つまり、データベースなどの高いCPU処理能力やトランザクション処理を必要とするシステムとなる。サンでは、ブレードサーバを投入することで、市場が新たに形成されるとは考えていない。他社の多くでは、ラックマウントとブレードのサーバを異なる部門で担当し、例えば増えすぎたサーバの集約にはブレードが最適といったように新たな市場メッセージを出し、別々に製品の販売促進をしている。

 これに対しサンでは、ラックマウントもモジューラ型も同じ部門で担当している。そのため、性能や機能で明確に販売のターゲットを区別するのではなく、顧客がたくさんのサーバを必要としているのならモジューラ型、そうでなければ通常のサーバを薦める。サーバそのものの市場へのメッセージは、どちらも基本的には共通だという。

新たなラインナップの提供

 サンは、米国時間の6月6日に、「Sun Blade 6000 Modular System」という新たなラインナップを発表した。これは、シャーシ高10Uのなかに10枚のサーバモジュールが搭載できるものだ。「Sun Blade X6250」は、先に発表されたインテルとの提携成果として、4コアのXeonプロセッサが2つ、サンのマシンに初めて搭載される。「Sun Blade X6220」にはAMD Opteronの4コアが2つ、「Sun Blade T6300」には8コアのUltraSPARC T1が1つ搭載される。

 高さ10Uなので1つのラックに4台、最大で320コアの高密度サーバが完成する。整数演算、浮動小数点演算などそれぞれのCPUごとに得意な領域が異なるので、ユーザーは用途に合わせ選択することになる。これで、ブレードの主戦場である、2ソケット領域のラインナップが揃ったことになるが、サンの戦略としては従来と同様2ソケットのラックマウントサーバとの比較になる。つまり、2ソケットのラックマウントサーバを数多く必要としている顧客にSun Blade 6000 Modular Systemを勧めるとのことだ。

 通常のブレードサーバの考え方は、ブレードという限られたスペースを先に定義し、熱や電力、スペースの制限の中でいかに効率的に、最高の性能を発揮できるか工夫するというものだ。サンの場合は、企業でいまもっとも使われているラックマウント型のサーバが先にあり、性能を損うことなくいかに効率的に配置できるかを検討し、結果としてモジューラ型のブレードサーバができあがったと考えられる。ちょっと特殊なブレードサーバを自社内のどこで活用できるのかと考えるよりは、すでに利用しているラックマウント型サーバの延長と捉えるほうが、ユーザーやSIerにはブレードサーバは理解しやすいかもしれない。

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