--競合として見ている企業はどこか。特にMicrosoftについてはどう考えているか。
この市場では、それぞれの企業がパートナーでもあり競合ともなる。Microsoftはもちろん、IBM、EMC、Sun Microsystemsなどすべての企業がパートナーであり競合だ。例えばEMCとは、ストレージ管理ソフトで競合しているが、EMCのストレージ「Centera」は、わが社の管理製品「Symantec Enterprise Vault」で管理しているケースが多い。顧客のニーズが高いためだ。顧客のメリットにつながるため、競合とも協調するのがこの業界の常だ。
Microsoftは、さまざまな分野を手がけており、Symantecのみならずソフトウェア企業はすべてMicrosoftと競合すると言っていい。ただわれわれは、他社と比べてもWindowsプラットフォーム上での利益が一番大きい企業だ。それは、顧客がSymantec製品の良さを理解してくれているからだ。
Microsoftほどパワフルで力のある企業は他にはいない。しかし、それを恐れていてはいけない。Symantecはセキュリティ分野で25年の経験があり、どの企業よりも多くのユーザーを保護してきた。MicrosoftはOSのみならず、ゲームやMP3プレーヤーにまで手を広げている。Symantecはずっとセキュリティにフォーカスし、この分野ではMicrosoftよりずっと進んでいると言っていい。さらに、Symantecの製品はWindows上でもLinux上でも動作するという強みがある。インフラを標準化したいのであれば顧客は自然にSymantecを選ぶだろう。
Symantecでは、顧客の既存システムをすべて入れ替えるような戦略はとらない。われわれの提供するソリューションは、標準技術を使い、顧客の既存システムを補完するようなものだ。標準技術を使えば、オペレーションのコストはもちろん、人的リソースも削減できる。例えば、われわれの技術を使った大手金融の顧客などは、3年間でのROI(投資利益率)が数億ドルにも上った。
Symantecとしては、今後も顧客にわが社の製品を選んでもらうよう、イノベーションを続けるのみだ。これまでも、そしてこれからも収益の15%は研究開発に費やすことは変わらない。加えて、いい技術を持った企業やわが社の製品に統合したいと思える製品を持った企業を買収していきたい。
--SymantecのSaaS(Software as a Service)戦略について教えてほしい。
4月に「Symantec Protection Network」というSaaSプラットフォームを発表した。まずは、中小企業に向けたオンラインバックアップサービスから開始する予定だ。Symantecのサイトかパートナーのサイトにアクセスし、オンライン上からバックアッププロセスができるようにする。その後セキュリティクライアントやメール管理サービスなどもSaaSで提供する。
Symantecの持つすべての製品がサービス化するわけではないが、ソフトウェア製品としてラインアップにないものでも、サービスとして提供する可能性はある。つまり、SaaS独自のものも出てくる可能性があるということだ。