クラス分けでは、ネットワーク部とホスト部の分け方が「クラスA」から「クラスD」まで4種類ある。なお今回は、クラスDはIPマルチキャストという特別な用途で使用されるものということだけ覚えておいて欲しい。クラスAからクラスCまでのIPアドレスは、1バイト(8ビット)ごとに単位が区切られている。
クラスAは、最初の1バイト(8ビット)のみを「ネットワーク部」とし、残りを「ホスト部」とする。つまり、クラスの中で一番多くのホスト部が割り当てられるので、IPアドレスを付与できる端末が多い大規模ユーザーに適している。
このクラスの最初の列は、「0」から「127」で、この数値がIPアドレスの先頭列に来ていたらクラスAと認識できる。クラスAを2進法で表すと、8ビットの先頭の1ビット目が「00000000」(十進法の「0」)で始まり、「01111111」(十進法の「127」)で終わるため、「0」から「127」の番号帯が与えられる。ちなみに、クラスAに割り当てられるホスト部のアドレスは1677万7214個もある。
クラスBは、最初の2バイト(16ビット)がネットワーク部となり、中規模ユーザーに適している。このクラスは、最初の8ビット部分の頭2ビットが2進法の「10」で始まるため、ネットワーク部の最初の部分には「128」から「191」が与えられる。その次の部分は、「0」から「255」までが与えられる。つまり、2進法で表すと「10000000.00000000」(十進法の「128.0」)から「10111111.11111111」(十進法の「191.255」)となる。ホスト部には6万5534個のアドレスが与えられる。
クラスCは、最初の3バイト(24ビット)までがネットワーク部だ。このクラスは、最初の8ビット部分の頭3ビットが2進法の「110」で始まるので、ネットワーク部の最初の部分が「192」から「223」となる。つまり、2進法で表すと「11000000.00000000.00000000」(十進法の「192.0.0」)から「11011111.11111111.11111111」(十進法の「223.255.255」)というわけだ。ホスト部には、254個が与えられる。つまり、最初にネットワーク部とホスト部の例として示した図は、クラスCの例となる。
以上が「クラス分け」の説明だが、理解できただろうか。IPアドレスは限られた資源で枯渇問題が浮上しているというのに、例えばクラスAなどはIPアドレスを無駄にしてないだろうか。
その通り。枯渇問題が元となり、新たなIPアドレスのバージョンとなる「IPv6」の概念が生まれてきたのだが、端末の対応やその他システム的な問題もあり、現実的な解決策としてもう1つの分け方「CIDR(Classless Inter-Domain Routing)」と呼ばれる「サブネット(マスク)分け」の手法が台頭してきた。
そのサブネット(マスク)分けとは…… と行きたいところだが、それは次回のお楽しみとしよう。次回はIPv6についても少し触れたいと思う。
筆者紹介
宮本健一(みやもと けんいち)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
エンタープライズマーケティング プロダクトマネジャー
担当製品:
L4-7スイッチ、セキュリティ製品、他
経歴:
1998年某大手通信事業社入社。法人営業、通信機器マーケティングを経て、2005年11月ノーテルネットワークス入社。現職へ。
一言:
Web 2.0、SOA、SaaS等とアプリケーション分野では新たな波が押し寄せており、それを支えるネットワーク分野も革新が行われています。新たなテクノロジーによる、新たなマーケットの創造を考えつつ、自分の知らない世界(分野)については、こっそりと「超基礎」コーナーから勉強する。そんな日々のギャップを密かに楽しんでいる今日この頃です。