GPL 3は遠すぎた橋となるのか?

文:Peter Glaskowsky(Special to CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-07-05 18:45

 Free Software Foundation(FSF)は米国時間6月29日、GNU General Public Licenseのバージョン3(GPL 3)をリリースした。

 FSFは、GPL 2を採用しているオープンソース開発者の大半がGPL 3に移行することを望んでいる。とは言うものの、旧バージョンであるGPL 2は今後も有効なライセンスであり続ける。

 FSFの設立者であり、現在会長を務めるRichard Stallman氏は、フリーソフトウェアの開発と、ソフトウェアの無償化にそのキャリアを捧げてきた。ソフトウェア開発者とユーザーの自由を制限する著作権や特許、デジタル著作権管理、その他の法的あるいは技術的な仕組みすべてに強く反対しているStallman氏は個人的に、EmacsやGNUコンパイラ、GNUデバッガなど、コンピュータ界でよく利用される重要なプログラムを開発してきた。

 FSFのプレスリリースによれば、この新ライセンスによって、ユーザーの自由がより保護されるようになり、他のフリーソフトウェアライセンスとの互換性が向上することになるという。

 実際には、GPL 3は一部の開発者の自由を制限し、商用ライセンスとの互換性を低下させるものでもある。

 GPL 3は例えば、商用機器がGPL 3に基づいたコードを使用する場合、そのコードの修正バージョンを当該機器上で使用可能にしなければならないと定めている。例えばTiVoではGPL 2に基づいたコードが使用されているが、録画したTVプログラムが許可無く配布されることがないよう、TiVo上で修正バージョンのコードが使用できないようになっている。こういった場合、GPL 3はGPL 2よりも「自由」が制限されており、一部の商用プラットフォームにおいては受け入れられないものとなっている。

 FSFはまた、MicrosoftとNovellとの間に交わされたような特許契約を防ぐための変更も行っている。筆者は弁護士でないので、GPL 3がこの目的を達成できているかどうかは不明である。こういった変更が標的とするMicrosoftやNovell、その他の企業はまだ、新ライセンスの内容について不十分な点を指摘してはいないとみてもよいだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]