トレンドマイクロは7月6日、2007年度上半期および6月のウイルス感染被害マンスリーレポートおよび上半期のウイルス状況の総括を発表した。
上半期の日本国内でのウイルス感染被害報告数は3万7363件と、2006年の上半期の件数(4万2741件)および2006年下半期の4万9160件と比較しても、減少傾向にある。海外では「Storm Worm」など地域的な規模での流行があったが、日本ではそこまでの大きな流行はなかった。
しかし、大きな流行がなかった分、ターゲットを絞った攻撃の割合が高くなり、被害が横に広がりにくい傾向もある。ウイルス個々の被害件数を見ても、1種による集中的な感染が減り、被害の分散化が進んでいるとしている。
不正プログラムを使った攻撃手法は巧妙化の一途をたどるとともに、悪意ある攻撃者のプロフェッショナル化も顕在化してきた。現在最も特徴的な手法は、ウェブ経由で連続的にダウンロードする手法と攻撃対象を限定する手法だ。
イタリアやドイツなど欧州を中心とした海外において、特定地域に限定したウェブからの攻撃が多く報告されている。日本においても、ジャストシステム「一太郎」が攻撃対象になるなど、悪意ある攻撃者から狙われ始めているため、危険性が増してきたとしている。
このほか、上半期のトピックとして、正規サイトの改竄によるウェブから攻撃の頻度が増していること、セキュリティパッチ公開前の脆弱性を攻撃するゼロデイアタックが定例化していること、マスメール型ワームが大量の亜種の頒布、亜種による機能強化、侵入後の不正プログラムダウンロードによる複合感染といったシーケンシャル攻撃を行うように変貌したことなどを挙げている。
6月のウイルス感染被害の総報告数は、4799件と先月(5145件)に続き、3カ月連続での減少となった。1位は「JAVA_BYTEVER」が前月の4位から上がり、2位には前月3位の「ADWARE_BHO_MYSEARCH」、3カ月連続で1位となっていた「BKDR_AGENT」は3位となっている。