良い車を作るホンダが必ずしも良いウェブサイトを作れるわけではない--フォレスター調査より - (page 2)

山下竜大(編集部)

2007-07-10 12:00

 たとえば自動車のサイトでは、買い物や子どもの迎えなどに自動車を利用する45歳の主婦が、スタイルやインテリア、色などを自由に選べ、トータル価格がすぐに分かることをゴールとしている。

 また、銀行のサイトでは、既婚34歳の会社員が、ローンでいくら借りることができるのか、また金利はいくらなのか、申込書はどうやって手にはいるかをゴールとした。さらに家電のサイトでは、未婚30歳の会社員が薄型テレビを購入するために、プラズマとLCDの違い、価格の違い、機能、8畳のリビングルームにちょうど良いサイズなどの情報がほしいというゴールを設定した。

 今回の調査結果で平均してポイントが高かったのは銀行で、価値とプレゼンテーションで高いポイントを上げている。また、家電は信頼性で高いポイントを上げた。ちなみに日本企業12社の平均ポイントは、0.2ポイント。全世界平均の0.9ポイントに比べると若干低い評価となっている。

 良い評価についてBrowne氏は、「たとえば、みずほ銀行のウェブサイトでは、シンプルな画面構成で、直感的に使えるナビゲーションを採用し、各リンクの間に十分なスペースがあり使いやすいことが評価されている。また、ソニーでは、あまり意味のない画像が使ってあったりはするものの、難しい業界用語に対し、説明用のリンクが必ずつけてあることは評価できる」と話す。

 さらにシャープのウェブサイトでは、自分の部屋のレイアウトを自由に作成し、どこに、どのサイズのテレビを置くことができるかをシミュレーションできるツールが提供されており、2ポイントの評価がなされている。そのほかマツダのウェブサイトでも、スタイル、色、インテリア、オプション、価格などをユーザーが好きな順番で選択し、確認することができる機能が高く評価された。

 逆に評価が低かったのは、たとえばホンダのウェブサイト。トップページに画像がたくさん掲載されているために、必要な機能が下までスクロールしなければ表示されない点が不評だった。「良い自動車を作っているホンダだからといって必ずしも良いウェブサイトを作れるわけではないというのがこの調査の重要なポイントだ」とBrowne氏は言う。

 また、東芝のウェブサイトでは、トップページに「デジタル機器」「家電製品」「エンタテイメント」というメニューが表示されるが、どのメニューに薄型テレビの情報があるのかイメージしにくいことが不評だった。ちなみに、薄型テレビの情報は「デジタル機器」のメニューに含まれている。

 「今後、日本企業のウェブサイト構築でオススメするのは、まず“自分たちのユーザーは誰なのか”を理解することだ。また、同じ業界のウェブサイトだけでなく、他業種のウェブサイトも研究すること。さらに、ウェブサイトを改善した場合に、パフォーマンスにどれだけ影響があったのかを十分に分析してほしい」(Browne氏)

 こうした取り組みにより、「ウェブサイトを改善することで、これだけの費用対効果がありますということを証明することができる」とBrowne氏は話している。

フォレスターのJonathan Browne氏 Jonathan Browne(ジョナサン・ブラウン)
Forrester Researchの日本滞在シニアアナリスト。カスタマーエクスペリエンスとマーケティングを専門とし、日本の消費者や企業のテクノロジー利用動向、そしてインターネットや新メディアを使ったマーケティングについてリサーチし、企業にアドバイスしている。

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