NASDAQも採用進めるリアルタイムJava - (page 3)

杉山貴章(オングス)

2007-07-11 19:26

――現時点ですでにリアルタイムJavaをエンタープライズ分野で活用している事例はありますか。

 先程も話に出たNASDAQはマイグレーションしているということなので、様子を見ながら徐々に導入しているみたいですね。他にはカナダの銀行で使っているという話は聞いたことがあります。ただ現実にはエンタープライズ・リアルタイムJavaはまだこれからといった段階なので、具体的に実運用に入っているといった事例は把握していません。

 もちろんSunとしては積極的に導入をサポートしていくつもりです。RTS 2.0もサポート付きのプログラムになっていて、Sunが開発を支援するスタイルになっています。やはりリアルタイム・アプリケーションというのは普通のJavaアプリケーションに比べて高いレベルのプログラミングを要求されるので、その点はしっかりサポートしていかなければならないと思っています。

――国内ではどういった動きがあるでしょうか。

 個別の事例は話せないのですが、分野としては製造業に近い部分で導入を検討しているという話はあるようです。ラインの制御などですね。現状、リアルタイム制御が必要な部分は個別のシステムとして動いていて、これを全体として統一的に制御するためにシステムは非常に繁雑な処理を必要としています。こういう部分はリアルタイム・プログラムと通常のプログラムが共存できるRTSが得意とするところなので、積極的に推していきたいです。

 組み込みの分野というのは現在専門家しか手が出せないような領域になってしまっているのですが、それをIT系の技術者に手が出せるレベルまで持っていきたいと考えています。

 もっとも、現実的にはまだまだこれからといった面が強いです。そもそも現状ではまだ「Javaでリアルタイム」と言うと「本当にできるのか」と思う人が大半のようです。なのでまずは啓蒙からしっかりやっていかなければいけないと思っています。

――そういう意味ではNASDAQがマイグレーションを始めているという発表はいい追い風だったのではないですか。

 まさしくそうだと思います。やはり大きな事例があることは宣伝効果としては大きいです。もっとも対象とするシステムが大きくなればなるほど、それを一気に新しい方法で作り替えるというわけにはいかなくなります。その辺りも考慮しながら、パートナー企業と協力してうまくアクションを起こしていかなければならないと思います。

 ただコンピュータそのものはどんどん高性能になっているわけで、このまま進めばどこかで大きな変革が必要になることも確かです。その機会をうまく捉えることが大事だと思います。

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