Mendelsohn氏が移行の理由としてもう1つ挙げたのが、ストレージのコスト問題だ。昨今では指数関数的にデータが増大し、格納するストレージのコストの問題は企業にとって大きな課題となっている。これに対し自動化した新たなパーティション機能を活用すれば、高速で高価なストレージから安価なアーカイブ用のストレージにデータを自動的に移行するILM(Information Lifecycle Management)が実現できる。さらに、LOBデータを含め2倍から3倍の効率でデータベースを圧縮する機能と組み合わせることで、ストレージコストが15%程度は削減できるだろうとのことだ。
IBMやMicrosoftよりも5年は先に行っている
11gの新機能は、エンタープライズ市場だけのものではない。「中堅、中小の市場でもOracle Database 11g導入の効果は高い」とMendelsohn氏。例えば、中堅、中小の市場では、高度な技術者の確保が難しい中でTCOの削減を実現しなければならない。これに対し、11gではデータベースのセルフチューニングの機能が強化された。従来はアドバイザー機能としてこれを実現していたが、11gでは自動化を実現し、チューニングスキルのあるDBAがいなくても管理作業ができるようになる。この機能はIBMのDB2やMicrosoftのSQL Serverにはないものだ。
「SQL SeverやDB2はそれないりにいいもので、ローエンドでは魅力的な部分もあるかもしれない。彼らは競争相手であることは間違いないが、プレゼンスは小さく、我々の製品は5年は先を行っている」(Mendelsohn氏)
メモリ管理の自動化など管理者の負担を削減する11gの機能が、中堅、中小の市場でも大いに貢献するだろうとMendelsohn氏はつけ加える。
このほかにも、LOBデータも暗号化できるセキュリティ面の強化、データウェアハウスの高速化で有効なOLAPベースのマテリアライズドビュー、Binary XMLへの対応をはじめとするXML関連の機能拡張など、多くの新機能が搭載されている。こうした新機能は、サポートサービスのアップグレード権限を持っているユーザーであれば、11gへ移行することで無償で手に入れることができる。
Oracle Database 11gの製品提供は、8月にLinuxプラットホーム対応版から開始される。その他のプラットホームについても順次リリースされる予定だ(日本でのリリーススケジュールは現段階では未定)。価格についても10gの体系から基本的には変更はない。