ど真中でデファクトを目ざす
MIJSについて三浦氏は、「当社のコンソーシアムを多様な製品を持つ企業が集まってそのまま大規模にしたのがMIJSと考えています」と話す。そしてERPパッケージという性質上「そのど真中にいる」とも語る。だから「我々のノウハウも大いに提供できるし、各社からノウハウが提携されることで当社にも大きなメリットがあります」と三浦氏は述べている。
さらには「MIJSの取り組みを通じ、シェアでも、コンセプトでも日本市場でGRANDITをデファクトスタンダードにしたいと思っています」と三浦氏。インフォベックが、ど真中にいるのは高橋氏も感じている。技術部会で進めている製品連携について「フローチャートを見ていると“あれ、なぜGRANDITのフローチャートが?”と思ってしまうことがあります」と笑う。
その製品連携について高橋氏は、次のように話している。「製品同士のデータ擦り合わせならば比較的、容易にできると思います。ただ実運用となるとそうはいかないのです。たとえば科目の立て方や数字を何桁で持つのかとか、技術的な課題以外にあると考えています。単なる擦り合わせでいいのか、それとも新しい標準規格を策定するのかも重要です」
これを受けて三浦氏は、「やはりMIJSの活動を他のメンバーの製品、ノウハウを連携して新しい“日本標準”の確立を推進したいですね」と話している。
海外進出は慎重に進めていく
もうひとつMIJSが掲げる海外進出について三浦氏は、具体案件として「GRANDITの欧米版テンプレート」を開発/導入中ですが、実績を積みながら、慎重に進めていきたい欧米/中国に進出しようとしているMIJS参加企業の動向にも注目していきたいです」と話す。
同氏が慎重になるのは、もちろん商慣習の相違などもあるのだが、それ以上に導入企業の国、州により法律面の違いが大きいからだ。訴訟問題に発展する可能性もあり、管理/保守体制の整備も必要です。「単独で進出するリスクは大きい。度胸だけではダメ」(三浦氏)なのである。
逆に言えばここがまたMIJSに期待する部分でもある。「日本標準というものが確立できれば欧米に対抗しうる発言力も確保できるのではないでしょうか」と三浦氏は語っている。
課題は生産管理にあり
今後のGRANDITの展開については生産管理が課題になる。資材管理、工程管理など企業の数だけプロセスがあり、公約数的なテンプレートでは対応が困難なためだ。
「GRANDITの拡張だけでなく、インフォベックのコンソーシアム各社から得意分野のテンプレートを提供してもらったり、あるいはMIJS参加ベンダーの各社から提供してもらうことを考えています」と三浦氏。いずれにせよ、インフォベック自身がコンソーシアムであることも、MIJSに参加していることも今後はインフォベック自身に大きな恩恵をもたらすことになるだろう。
三浦氏は最後に、「MIJSの参加各社は本当にまじめに取り組んでいますよね。ここまで真剣にとは……。尊敬しています。日本のITの将来性を実感しています」と話している。
