「障害を持つ若者を大学、そして社会に」--産官学で取り組むDO-IT Japanプログラム - (page 3)

山下竜大(編集部)

2007-07-31 12:00

 DO-ITに関わりの深いアクセシビリティの分野では、Windows 95に拡大鏡やズームなど、画面を見やすくするための機能を標準搭載。それ以降のOSにも、スクリーンキーボードや固定キー、音声認識など、PCの操作性を向上させるための機能などが実装されている。また、視覚障害者向けのスクリーンリーダーや意思伝達装置、特別なキーボードやスイッチ、コミュニケーションエイドなど、専用の支援技術製品の研究開発も行っている。

 同社のアクセシビリティに対する取り組みにより、たとえば視覚障害により教科書を目で読むことはできないが、読み上げソフトを使えば教科書を理解できる若者、言葉によるコミュニケーションは困難だが、ワープロを使った文書によるコミュニケーションは可能な若者、考えをまとめることは難しいが、マッピングソフトにより考えを整理できる若者などを支援することが可能。テクノロジにより、障害を持つ若者の新しい能力や可能性を引き出すことを目指している。

マイクロソフトの細田氏 マイクロソフトの技術統括プログラムマネジャー、細田和也氏(写真提供:マイクロソフト)。

 マイクロソフトの技術統括プログラムマネジャーである細田和也氏は、「みんなから無理だと言われたことをやり遂げることができるのは嬉しいこと。PCのない時代には苦労も多かったが、今ではテクノロジで解決できることも多くなってきた。意志のあるところに必ず道は開ける」と話す。

 自身も障害を持つ細田氏は、マイクロソフトでWindowsに搭載されているユーザー補助機能の研究開発を行っている。また、サードパーティ製品に対するアクセシビリティやWindowsとの連係機能などをいかに実現すればよいかを支援する仕事を担当している。

 またマイクロソフトの人事本部の磯田真一氏は、米国での大学生活と日本での就労について紹介。言葉に不自由のある同氏は、PowerPointと読み上げソフトを使ってプレゼンテーションを行った。

 磯田氏は、「ITを活用することで障害者でも社会に貢献することができる。ただ現在では、日本の企業はなかなか障害者を採用してくれない。こうした状況を変えて行くには、まず教育機関を開かれたものにするための取り組みが重要になる。がんばれば夢は必ずかなう」と話している。

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