EMCジャパンは8月7日、同社のストレージシステムおよびストレージソフトウェアの新製品と新機能を発表した。
発表にあたり、EMCジャパン執行役員、マーケティング兼パートナー・アライアンス統括本部長の古谷幹則氏は、外部ストレージの出荷容量が2010年には1万9000ペタバイトを超えるという調査結果を引用しつつ、「今後は、従来のような単純なストレージ容量増加による対応よりも、情報管理の抜本的な改革が必要になる」と指摘した。
今回発表されたのは、ハイエンドストレージの最上位機種である「EMC Symmetrix DMX-4」、マルチプロトコルストレージシステムの「EMC Celerra NS20」および「EMC Celerra NS40」。ネットワーク接続型ストレージシステム「EMC CLARiX CX3」における、ストレージOS「CLARiX FLARE」の強化。マルチプロトコルストレージシステムの「EMC Celerra NS20」および「EMC Celerra NS40」。エントリーレベルのファイルアーカイブアプライアンス「EMC Rainfinity FMA(File Management Appliance)」。CAS(Contents Adress Storage)システム「EMC Centera」の新機能。仮想環境管理の負担を軽減するストレージリスク管理ソフトウェアの最新バージョン「EMC ControlCenter V6.0」と、多岐にわたる。
ハイエンドの「EMC Symmetrix DMX-4」シリーズは、4Gビット/秒のスピードを誇る高速なバックエンド接続、高信頼性を確保するためのファイバ・チャネル・ポイント・ツー・ポイントバックエンドが特徴。ストレージOS「Enginuity」の最新バージョン上で、ローカルレプリケーションソフトウェア「EMC TimeFinder」を利用することにより、Symmetrix全体のパフォーマンスが最大で30%、TimeFinderによるローカルデータのレプリケーション速度が最大で10倍に向上するという。
「EMC Celerra NS20」および「EMC Celerra NS40」は、エントリーレベルの「NS20」と大規模向けシステム「NS40」のいずれも、iSCSIまたはファイバチャネル接続により既存のNAS/SAN環境に容易に導入が可能だ。また、新たなソフトウェアである「Celerra Startup Assistant」を利用することで、容易な管理が実現でき、電源投入から本番環境の稼働までを15分で完了できるとする。
ネットワーク接続型ストレージシステム「EMC CLARiX CX3」においては、ストレージオペレーティング環境「CLARiX FLARE」がバージョンアップされた。アクセス制御機能が向上したほか、コンプライアンスおよび監査機能を拡張するセキュリティ機能、ネイティブiSCSIによるレプリケーション機能等が強化された。
CAS(Contents Adress Storage)システム「EMC Centera」についても、「EMC Centera第4世代LP(停電力)ノード」としてハードウェアが一新された。低消費電力プロセッサ、チップセット、冷却機構、高効率の電源装置を使用して構成されるとともに、OS環境「EMC CentraStar」はセキュリティ機能が強化され、高レベルの認証、システムログ、監査機能を新たに提供する。既存のGeneration 2、3、4システムとの混在も可能である。
また、これらの新ストレージ製品のいずれも、従来より容量の増加した最新の「750GバイトSATAIIディスクドライブ」を利用することにより、電力効率性をさらに高めることが可能という。
そのほか、新製品となるエントリーレベルのファイルアーカイブアプライアンス「EMC Rainfinity FMA(File Management Appliance)」では、ポリシーベースの自動ファイルアーカイブをコストパフォーマンスの高い方法で実装し、NASインフラストラクチャ全体でファイルを自動的に検索、移動できる。他社製NASシステム、EMC CelerraおよびCenteraと連携して実行も可能である。
さらに、ストレージリスク管理ソフトウェアの最新バージョン「EMC ControlCenter 6.0」では、仮想化された論理サーバがストレージのどのボリュームを使用しているかをエンド・ツー・エンドで管理することが可能になった。「VMware VirtualCenter」を補完し、VMware Infrastructure 3に関する広範なサポートを提供するという。
EMCの4つのフォーカスエリアである、情報の「活用」「最適化」「保護」「保存」のうち、「保存」をつかさどる今回のラインアップ拡充について、古谷氏は「人(運用管理)、環境(低消費電力)、情報保護(セキュリティ、可用性)、そして懐(投資の保護)のいずれにとっても「“やさしいストレージ”を指向するものである」と述べた。