ソフトベンダーに新たな収益モデルを提示
今回のサービスで、もうひとつ注目される特徴は、このカードをいわゆる「ノベルティ」として用い、販促活動に利用することができる点だ。カードに広告を掲載し、広告主企業の商品、サービスなどに関連のあるソフトを無料で配布する、というビジネスモデルが構築できる。ノベルティ化はすでに自動車販売ディーラーが採用しているほか、大手生命保険会社も採用する意向であるという。さらに、カードがコレクションの対象になることも想定される。
インターレックス社長の佐藤健次氏は「これまで、ソフトベンダーはソフトを開発、販売して、収益はエンドユーザーから得ていたが、このモデルでは、広告で収益をあげられる。いわば、Googleと同じような展開が可能になる。また、ユーザーには無料でソフトを提供することで、これまでは手が届かなかった層に製品を届けられる」と話す。
この方式の応用によって、販売チャネルが広範に拡大する可能性がある。従来の大型家電量販店、パソコン専門店だけでなく、書店、古書店、レンタルビデオ店、ネットカフェ、大学生協、ビジネスホテル、コンビニエンスストアなどにも、同社は販路を広げていく方針だ。
80年代初頭、「超流通」といわれるビジネスの概念が提唱された。基本的には、コンテンツの流通について、コピーが可能であっても、不正利用は不可。パッケージという有体物を介することなく、ライセンスの単独販売をすることができ、所有権から使用権を分離する……といった形態を指す。当時は、ネットワーク環境が未整備で、著作権管理の技術も不十分だったが、ブロードバンド環境が普及し、DRMも発達してきた現在、この思想が実現できる土壌が整ってきた。
「L.A.Cサービスは、超流通へのチャレンジ」と佐藤氏は語る。このサービスは、いわゆるASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)の範ちゅうに含まれるが、あくまで「販売店」を介在させる形式である点がユニークである。ソフト流通は「ビジネスモデルの転換期」(佐藤氏)にあるようだが、今回の試みは「既存の販売店に取って代わろうというものではない」という。そのため、既存の流通大手も賛同していくもようであり、これまでの国内におけるソフト流通のあり方を大きく変える可能性もある。