導入したテクノロジの数が多いほどビジネス価値も高くなる傾向
回答されたビジネス価値について少し詳しく調べてみると、複数のWeb2.0テクノロジを導入している企業ほど高いビジネス価値を得ているという明らかな傾向が見られた(図1-2参照)。特に、5種類のWeb2.0テクノロジをすべて導入している企業では、2つしか導入していない企業よりも高いビジネス価値を認めている。
・ビジネス価値が高いほど投下資本を回収できる
ただし導入規模が非常に大きい場合のみ。 今回調査した5種類のWeb2.0テクノロジ(ブログ、ポッドキャスト、Wiki、RSS、ソーシャルネットワーク)をすべて導入している企業は、最大の投資効果を享受している。
一方、導入テクノロジが2〜3種類の企業は、ビジネス価値を最も享受できていなかった。。この結果は、Web2.0テクノロジが実際に投資効果を上げ始めるには一定数のWeb2.0テクノロジを導入する必要があることを示している。
・Web 2.0テクノロジに“最適な組み合わせ”はないと判明
調査したForrester Researchのユーザー企業の間では、いずれかのWeb2.0テクノロジで十分なビジネス価値を得るには、他のWeb2.0テクノロジを導入して補完する必要がある、という点で一致している。たとえば、ブログサービスはRSSなしではあまり効果的ではない。このことが、Web2.0テクノロジの大規模な導入の価値を高める事実であることは確かである。
ただし、そのための“最善の組み合わせ”というものは特にないことが、回答によって明らかになった。とはいえ、予想されるとおり、ビジネス価値の高い組み合わせとの相関性が最も強いのはRSSであった。
・導入の促進要因と見られるのはWeb2.0テクノロジから得られる確かな手応え
最高の成果を生むのが特定のテクノロジの組み合わせでないとすれば、想定される要因は、意思決定者がひとつのテクノロジによって高いビジネス価値を実感し、第2、第3、第4のテクノロジを導入するのではないかということである。
たとえば、Wikiで成果が出ているのでポッドキャスティングも試してみようと考えるのではないだろうか。また、複数のテクノロジを導入する順序には、まずブログ、次にRSS、そしてWiki、といった一定の規則性は見受けられない。
つまり、意思決定者はそれぞれの事情に応じた順序で導入しているのである。導入済みテクノロジが1種類のみで顕著なビジネス価値を実感している回答者は全体の13%だが、それらの企業は今後も新たな導入を続けることが予想される。
図1-1:最高のビジネス価値評価はRSSとポッドキャスティング--ただしいずれもIM以下 |
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調査対象:従業員数500人以上で、各テクノロジに投資済みまたは試験導入中の米国企業のIT部門意思決定者(端数を丸めているため各数値の合計は100%にならない場合がある) |
出典:Forrester Research, Inc. |
図1-2:ビジネス価値の平均値はWeb2.0テクノロジの導入数に応じて上昇 |
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調査対象:従業員数500人以上で、最低1種類のWeb2.0テクノロジに投資済みまたは試験導入中の、米国企業181社のIT部門意思決定者(出典:2007年6月「US Web 2.0 Online Survey」) |
出典:Forrester Research, Inc. |