こうした展開から、WLAN上でVoIPが広く利用されるようになると予測した人もいるけど、個別の調査事例からは、無線接続でIP電話を使えるようにするためには、展開済みの多くの都市で帯域幅をもっと増やす必要があるだろうと示唆されているんだ。
--WiMAXについてもいろんな話を聞くけど。Wi-Fiより広い範囲で使えて高速だから、Wi-Fiに取って代わることになりそうだとか。結局、Wi-Fiは少し遅いってこと?
面白い質問だね。Wi-Fiの性能アップのための研究はずっと行われていて、今度の802.11n Wi-Fi標準で動作する機器の認定をWi-Fi Allianceがまもなく開始するんだ。この標準は200Mbpsから300Mbpsの速度を保証するもので、到達範囲も約50mに改善されている。
--でも、Wi-Fiの分野ではそれでも満足じゃないって聞くね。無線インターネットについては、健康面での懸念があるんじゃないの?
確かにそうなんだ。最近、Wi-Fiによって発生する「電磁波スモッグ」と呼ばれるものが健康に悪影響を与えるおそれがあるという懸念が広がってきている。silicon.comの調査では、読者の意見は分かれている。
--あらゆる種類のセキュリティ上の懸念も存在するんだって聞いたけど。
その通り。個人や企業の多くは、どうやら自分の無線ネットワークを保護する対策を取っていないらしい。silicon.comのCIO Juryによると、不正アクセスポイントはセキュリティ上の脅威だと考えていて、4500万件以上の顧客データが盗まれたTJX事件などの有名なハッキング事件では、Wi-Fiが攻撃手段として使われたんだ。
弁護士は、Wi-Fiを使用することで、企業は自社に関連する法的リスクを背負うことになると警告してきたが、個人でも、誰かの無線接続をちょっと無断借用する「ウォードライビング」という行為が法的に罰せられるリスクがあるんだ。