アフターサービス分野のIT投資増加に手ごたえを感じる--サービジスティクスの清水社長 - (page 2)

高田真吾(ライトセブン)

2007-08-23 17:51

--3つ目のWorkforce Managementで実現できることについて聞かせて下さい。

清水 フィールドエンジニアと車両の計画、監視、ディスパッチおよび最適経路の検索を通じてサービスコミットメントを履行し、サービスリソースの稼働率、収益性、顧客定着率の最大化を実現します。

 具体的には、パーツと人材の同期をとる機能があります。中長期スパンで全国規模のサービス需要予測を行うことで、その予測に対する要員計画(スキルを持った人がどの地域に何人必要なのか)を立てることができます。スケジューリングやディスパッチ計画を日次で立てられるので、パーツと人材をフレキシブルに引き当てることも可能です。

 次に、ある部品に急に注文が入っても在庫がない場合、その部品の代わりに使える部品は、どこの拠点にある何かを検索し、調達するための機能です。最後に、実行系のKPI管理機能があります。

 たとえば、あるユーザー企業が顧客と時間単位の保守契約を結んでいる場合、人材や部品に関する緊急を要する問題が発生すると契約を守れない可能性が出てきます。コマンドセンター機能を活用することで、全世界のすべての問い合わせ状況をモニタリングできます。

 グローバルにすべてのリスク要素をドリルダウンする機能を実装しているため、サービスの責任者は、問題を詳細にわたってリアルタイムに把握し、スムーズに策を打つことができるのです。彼らが職務を遂行する上で、将来的に無くてはならないものになるでしょう。

--Parts Managementからスタートしたサービジスティクスが、Pricing ManagementやWorkforce Managementに向かった意図はどこにあるのでしょう。

清水 我々は、顧客のニーズに基づき、優先順位の高いものからサービスを開発しています。まず、Parts Managementからスタートし、アフターサービスの領域に注力していく方針が固まりました。

 この領域は、保守契約管理、部品のコンテンツ管理、修理のナレッジ管理などビジネス範囲が広く、小規模なベンダーが多数存在しています。ユーザーにとって、さまざまなソリューションを各ベンダーから別々に購入するのは効率が悪い。そこで我々は、ひとつのプラットフォーム上でユーザーの統合的な意思決定を可能にする基盤を築いたのです。

--ライバルの専業ベンダーが日本に進出して来ないのはなぜだと考えますか。

清水 創業当時、サービス系ソリューションの分野はニッチで、非常に小さな市場だと認識されていました。ところが、DELLなどの大企業がグローバルでこの分野に取り組み始めたことで、多くのITベンダーはマーケットのポテンシャルに気づき始めてたようです。

 つまり、昔i2が出てきてERPベンダーがSCMに向かったように、SAPやOracleもサービス系に進出してきています。今までサービス分野は、米国でも極端にITの予算が限られていて、日本では特にそうでした。

 しかし、サービスの重要性は年々高まっています。最近の経営層は、製品の差別化よりサービスの差別化に注目しているので、当時に比べると市場としての存在感はかなり違う。本格的な進出はこれからでしょう。

--市場に注目が集まってきたことで、サービジスティクスが大手ベンダーから買収のターゲットにされることはありませんか。

清水 未上場なので敵対的に買収されることはありません。ただし、ベンチャーキャピタルから投資を受けているので、2年以内には上場する予定です。

--最後に、日本での今後の展開について教えて下さい。

清水 製造メーカーの経営層からのニーズが強まっており、営業活動に手ごたえを感じています。今後は、Pricing ManagementとWorkforce Managementを本格的に日本に展開します。Workforce Managementでは、人事システムとの連携、GPS機能の新規追加を行います。

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