あなたの契約しているVoIPプロバイダーはだいじょうぶ?―米VoIP事業者の倒産を考える - (page 2)

文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有

2007-08-28 08:00

友人との連絡がとれなくなったり、世間から途絶する結果に

 SunRocketの旧顧客の多くは、同社が倒産したことに対して怒っているというよりも、倒産時における顧客への対応に怒っている。顧客はサービスの停止を事前に知らされていなかったため、電話サービスを維持するために新たなプロバイダーと契約する時間がなかったのだ。顧客サービスセンターは閉鎖され、そこに電話をかけても、「われわれはもう顧客サービスを提供しておらず、新規加入申し込みの受付もしていません」という録音メッセージが流れてくるだけだった。

 電話サービスがなくなることは、誰にとっても大きな迷惑だ。しかし、電話サービスをビジネス上や、医療上もしくは健康上の理由で必要としている人々の場合、その存在がなくなれば金銭的な損失を被るし、場合によっては命にかかわる事態になりかねない。

代替サービスの選択

 もしもあなたのVoIPプロバイダーが倒産したならば、次のプロバイダーの選択には慎重になるだろう。そもそも別のVoIPプロバイダーを選択すべきなのか、それとも再び固定電話を使用すべきなのかと悩むかもしれない。

 SunRocketの倒産は、VoIPユーザー(および潜在的ユーザー)にとって、VoIPテクノロジが自らのニーズに見合う安定性と信頼性を提供できるかどうかについて考え直すきっかけとなっている。他のプロバイダーもこのことに気づいているのは明らかであり、その多くが自社のウェブサイトでこういった問題について力説している。例えば、BroadVoiceは、2003年以来安定したサービスを提供しているということを強調している。また、Lingoは、年間売上額が10億ドルを超える大手の電話会社であるPrimusの後ろ盾があることを記載している。あるいはVonageは「240万人の顧客を抱えており、成長し続けている」と謳っている。

 しかし、こういった謳い文句がどれほど意味を持つというのだろうか?SunRocketはVonageに次ぐ業界第2位の独立系VoIPプロバイダーだった。Vonage自体も、Verizonによって起こされた特許訴訟にいまも苦しんでいる。Verizonはこの訴訟で、Vonageが固定電話システムに電話をかける際に用いる技術に対する特許を自社が保有していると主張している。Verizonが同訴訟で勝訴すれば、Vonageは自社が該当の技術を使い続けることができなくなるためサービス停止に追い込まれるおそれがあることを認めている。他のVoIPプロバイダーも同じ憂き目に遭うことになるのだろうか?VerizonはVoIP市場を独占することになるのだろうか?現時点では誰も確かなことを言えないが、SunRocketの倒産によって、その顧客に限らずVoIPサービスにかかわる今後の選択が影響を受ける可能性もある。

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