OSSセンタは、これらのスイートの実機検証を行ったうえで、インストール手順や性能基礎データなど、システム構築に有用なノウハウやデータを詰め合わせたものをドキュメントとして整備・提供している。現在、OSSVERTとしては、OSではRed Hat、ウェブサーバはApache、アプリケーションサーバではTomcatとJBoss、DBMSはPostgreSQLとMySQL、それに非OSSのOracleが検証済みとなっている。
(2)のサポートサービスは、OS(Linux)からミドルウェアまでのOSS製品について、システムのライフサイクル全般に対するサポートを提供するというものだ。これには、運用中のシステムで故障が発生した場合に故障を解析したり、回避策を提示するなどの保守サービス、性能検証や構築支援、検証代行などのSE支援、故障復旧支援などといった個別支援サービスも含まれている。
(3)の戦略プロダクト開発とは、OSSでは現段階で提供されていない製品をNTT研究所とOSSセンタが開発して、OSS製品を補完しようというものだ。現在、開発している製品は、大規模・ミッションクリティカルシステム向けの統合運用管理ソフト「Crane」、PostgreSQLをベースにしたRDBMS運用保守ツール、トランザクション処理AP基盤「CAPF」などがある。
30%以上ものコストダウンに成功
実際にOSSを適用しているNTTグループの社内システムに対して、OSSセンタはOSSVERTを提供したり、保守サポートを提供するなどの貢献をしている。
NTTグループ内でのOSS導入事例について畠中氏は、こう語る。
「OSがLinuxというのは、社内システムでも当たり前になってきています。しかし、ミドルウェアもOSSというシステムは、まだそれほど多くはないと思います」
これは、これまでOSS適用してきた社内システムは既存システムの更改案件が多く、既存APの移行も考慮するとミドルウェアもOSSに切り替わるシステムの数は多くないのである。一方、新規開発のシステムでは、性能条件などが満たされればOSSミドルウェアの適用も進んできている。それでは、社内システムをOSSにしたことで、どれだけのコストダウンを図ることができたのだろうか。
「OSSに“ジャストフィット”なシステムであれば、30%以上のコストダウンを図ることに成功しています」(同氏)
これは、既存システムのハードウェア更改にあわせて、更改前と同じハードウェアアーキテクチャの最新機種を使用しOSとソフトをバージョンアップした場合と、IAサーバとLinuxを含むOSSを全面採用した場合では、イニシャルコストとランニングコストの合計で30%以上のコストダウン効果を得られたというものだ。