OSSは確かに発展してきてはいるものの、これまでUNIXサーバでこなしていたシステムの規模をOSSだけで運用し続けるには、やはり問題があるという証左だ。ユーザー企業の信頼を勝ち取る一手段として、NECでは、商用ミドルウェアとの組み合わせを提言しているのである。
クラッシュダンプ機能の強化はコミュニティーとの協業
(3)の社会インフラを中心とした基幹系システムでは、UNIXをベースにしたシステムで、NECが培ってきた“オープンミッションクリティカルシステム(Open Mission Critical System:OMCS)”のノウハウと組み込み系やHPCの領域の技術を、Linux基盤の基幹系システム構築に適用するというものだ。NECは、これを「エンタープライズLinuxソリューション for MC」としている。
Linuxを基盤にしたミッションクリティカル(MC)なシステムについて同社ではこれまでも、取り組みを続けてきているが、このエンタープライズLinuxソリューション for MCでは、プラットフォーム、SI、サポート・サービスの3点でソリューションを強化しているという。
プラットフォームの点では、OS自体のMC性を強化するために、Linux開発コミュニティーとの協業を展開してきている。Linuxのファイルシステムである「ext3」での最大サイズ拡大やクラッシュダンプ機能「Kdump」の機能強化は、コミュニティーとの協業で行われたものであり、RHEL 5の機能強化に貢献しているという。また、今後は次期Linuxカーネルの可用性・運用性の各機能を、コミュニティーやディストリビュータなどと協業しながら強化していく方針を明らかにしている。
SIの点では、「構築Suite」による基幹系システムを構築していく。構築Suiteは、先に紹介した構築Suite OSS+と基本は同じようなものだが、大きく異なるのが、DBサーバに「Oracle Database 10g」を、APサーバにNEC製の「WebOTX」を用いることができるという点だ。これも、信頼性という視点で商用ソフトが優れているとNECが判断したためである。
HA(High Availability)サポートでは、サーバからOS、ミドルウェア、ストレージに至るまでシステム全体をサポートするというものであり、予防保守の「プロアクティブサービス」と障害復旧の「リアクティブサポート」の二つを組み合わせて、システム全体の高可用性をサポートしようというものだ。プロアクティブでは、遠隔地からの24時間365日体制でのハードウェア障害監視などが、リアクティブでは、障害が実際起きた際に技術者が優先して原因究明を行い、回避策を提供するということも提供されるという。