質にこだわり事業を拡大
現在、プロフェッショナルサービスとしては、すでに紹介した「VA Quest」のほか、仮想化支援サービス「VA Virtual-suite」、カーネル対応 受託・開発サービス「VA Expert」、カーネル対応コンサルティングサービス「VA Zest」を提供している。
売上は対前年度比10%台の右肩上がりで伸びてはいるが、上田氏は「現在はブランドを確立することが最優先。つまり、質の高いサービスの提供に注力しており、売上だけを考えているわけではありません。たとえば、VA Questは、収益性の高いサービスメニューですが、すべての受注をこなすことができないのでお客さんの数を絞っているのが実状です」という。
しかし、仕事の質は高水準を保ちながらも、新たなビジネスも視野に入れている。
「今後はさらにソフトウェア開発とソリューションの提供に注力したいと考えています。まだ詳細は明らかにできませんが、いくつか構想を持っています。新たなプログラムのようなものを作る可能性もあります。それによってOSS市場の拡大、発展を支援したいと思っています」(上田氏)
質の高い技術者の英知を結集し、新しいビジネスを生み出すという。それによってOSS市場の拡大、発展に貢献するというが、これが実現すれば同社のビジネスフィールドも格段に広がることになる。
「OSS市場は確実に伸びていると実感しています。OSSはすでに、企業システムの核になっていますね。VA Linux創業のときは、まだLinuxがシステム開発の選択肢の中に入るかどうかという状況でしたが、今は当たり前になっています。何の懸念もなく、OSSを手がけるようになっています」(上田氏)
上田氏は、今後Linuxがエンタープライズ分野で使われるようになればなるほど、VA Linuxの企業としての価値が高まると見ている。その読みが、上田氏のいうニュー・ビジネス構想につながっているようだ。
「Linuxカーネルでダンプをとり、それを解析できるようにすることで、新しいエンタープライズシステムが誕生します。それによって、一気に新しいビジネスが生まれる可能性があります。こうしたことを理解し、実践できるということを生かしたサービスやプロダクトを今年から来年にかけて出していきたいと考えています」(上田氏)
上田氏は「グローバルに対抗できる技術を持ってローカルを攻める」のがVA Linuxの戦略と語る。現時点で海外に進出することは考えていないというが、ローカルだけで通用する技術力では勝てないのがLinux、OSSの世界でもある。グローバルに開発コミュニティとコミュニケーションしながら、日本というローカルな市場にアプローチするというのが、創業以来、VA Linuxをリードしてきた上田氏のビジョンだ。
VA LinuxのOSS市場での独特の立ち位置は、そのまま、同社の強みになっていると言えそうだ。