企業に蓄積されたあらゆるデータを統合・分析し、全社的なビジネスパフォーマンスの向上を図るための手法としてCPM(コーポレートパフォーマンスマネジメント)が注目されている。その中で、CPMプロバイダー大手のSAS Instituteは、独自の方法論とプロセスでCPMの基盤を確立している。ワールドワイドマーケティンググループでSASのプロダクト責任者を務めるGary Cokins氏に話を聞いた。
――Cokins氏はCPMの専門家だと聞いています。
私はABCテクノロジーズの出身で、長くABC/M(活動基準原価計算/管理)に携わってきました。CPMはABC/Mを包含する広い概念です。ABC/Mを経験しているという意味で得意分野ではありますが、まだ専門家とは言えないでしょう。今も時間とコストと品質の相互依存関係について継続的に学んでいますから。
――そのCPMですが、これまではさまざまな言葉が使われてきましたね。
CPMは、ほかにもSPM(ストラテジックパフォーマンスマネジメント)、EPM(エンタープライズパフォーマンスマネジメント)など、さまざまな呼び方があります。現在、われわれはPM(パフォーマンスマネジメント)と呼んでいます。
――PMを一言で言うと?
PMの価値は、企業の迅速な意思決定と業績の向上を支援することで、概念自体はコンピュータが誕生する以前からあります。パフォーマンスは組織全体の能力を指します。優れたPMの手法を使用することで、組織がパフォーマンスを生む方法論やプロセスを常に最適なものに保つことができるのです。なお、パフォーマンスは組織全体の能力を指します。
――SASが提供するPMの特徴は?
ABC/M、シックスシグマ、CRM、SCMなどのさまざまな方法論を統合していることです。各方法論を個別に実装すると、PMの真の価値は得られません。各方法論を結合することで、パワーや相乗効果が生まれるのです。
――ポータルでさまざまな個別ソリューションを一目で見られるようにするだけでは不十分なのでしょうか。
そのような製品は多いですね。これは多くのベンダーが買収によってソフトウェアを獲得しており、ソリューションに追加しているためで、ソフトウェアや方法論の統合が不完全だからです。
一度のログインですべてのシステムにアクセスしたいものの、それができないというシングルサインオンの問題ならポータルで解決できるかもしれません。しかし、われわれのように、ストラテジーマップ、バランススコアカード、ダッシュボード、ABC/M、カスタマーセグメンテーション、キャンペーンマネジメントなどの方法論を共通のプラットフォーム上で統合し、相乗効果を得ることはできません。
――SASもABCテクノロジーズを買収したのでは?
われわれは買収後にアーキテクチャレベルで完全な製品統合を行っています。個々のソリューションを歯車にたとえるとインテグレーションの大切さが分かりやすいかもしれませんね。