CICCのアジアOSS事業では、過去5年間に国際会議を8回開催しており、2007年11月には9回目の国際会議がタイ・バンコクで開催される予定だ。これには1000人以上が参加する予定だそうだが、そこでは、「OSSはどうやって使うものなのか、OSSでどのようにビジネスをやっていくのかなど、OSSの実システムへの適用事例やOSS関連の製品・サービスを“ショーケース”として、各国の関連団体参加者に見せようと企画している」(高澤氏)という。
日本でのOSS適用事例やベンダーのOSS関連ソリューションといった情報をアジア各国の関連団体で共有すれば、参加者それぞれが、OSSを基盤として、その上にアプリケーションを開発することで、アジア地域での技術力が高まるという狙いである。
中国・韓国企業の熱心さ
そうしたアジア地域におけるITの技術力をつぶさに見聞きしている高澤氏だが、日本SGIにとって有用なソリューションを手に入れるために、米国でのLinux/OSS関連イベントにも積極的に足を運んでいる。この8月に米サンフランシスコで開催された「LinuxWorld Conference & Expo 2007」にも参加している。そこで同氏は、日本とアジア、特に中国と韓国との技術力の差が縮まっていると感じたという。
「イベントには、日本企業で製品やサービスを展示している企業がいませんでした。もちろん現地法人が展示していましたが、日本から直接行っていたところはなかったです。それに対して、中国の企業数社がイベントに、現地法人ではなく本社から参加していました。韓国の企業も参加していました。その力強さには、圧倒されましたね」
そうした中国や韓国の企業は、イベントで米国企業の最新のソリューションに関する情報を手に入れてもいる。「そうしたアジア企業の技術力のキャッチアップは物凄く進んでいる。日本企業はうかうかしていられない」(同氏)という感想だ。そうしたことを実体験しているからこそ、「今まで日本とアジアというと、日本が上位にあってアジアを下に見ていましたが、OSSでは一緒にやっていこうという姿勢を取った方がいいと思います。そうしないと日本は孤立することになります」という思いも、高澤氏にはあるのだ。
こうした思いを秘めている高澤氏は、CICCのアジアOSS事業において、人材育成の方策も考えている。人材育成ということでいえば、高澤氏は日本SGIの活動として、OSSの開発コミュニティーに対して、自社ビル施設を会議の場として提供するといったことも、これまで続けてきている。
OSSを基盤にしたサイクル
Linux/OSSに関連した日本SGI、その中心となっている高澤氏の活動には、実は大きな“サイクル”を描こうとしている。
