--現在では、多くのストレージ・ベンダーがNAS市場に参入していますが、NASの背景にあったのは顧客からの要求だったようですね。
すでに申し上げたように、われわれの最初の顧客層はUnixのソフトウェア開発者やCADのファイルサーバのユーザーでしたが、そのストレージには2種類のデータがあると考えていました。データベースのような構造化されたデータと、ファイルサーバのような構造化されていないデータです。しかし、当時考えられていたデータベースの唯一の運用方法はDAS方式でした。
そうした当時の状況の中で、エンジニアリング系のお客様の中から、ソフトウェア開発のためのデータベースの要求が出てきたのです。ソフトウェア開発の際に必要なソースの管理のため、なぜNFSではデータベースの作業ができないのかという疑問がでてきたわけです。それまでわれわれは、それはターゲットとしているアプリケーションではないと考えていましたが、お客様はわれわれのプロダクトに対してデータベースへの展開をしたいと要求されたのです。そうした要求を検討した結果、データベースをネットワークに対して、つまりNFSサーバに対して展開することにしました。
統合アーキテクチャで次世代ストレージを提唱
--競合他社と比べた場合の、NetAppの優位性を教えて下さい。
他のストレージベンダーは製品カテゴリごとに異なるOSを用意していますが、NetAppのOSは「Data ONTAP」1つです。そして、そのOSの上に、たとえばレプリケーション用のソフトウェアなどいろいろなレイヤがあります。われわれはそのソフトウェア層でも、他社より幅の広いものを提供していると自負しています。
データ管理用ツールとして「Operations Manager」を提供していますが、これによってお客様はGUIを介してデータセット、あるいはソリューション管理が行えます。アプリケーション統合用の管理ツールの「Snap Manager」は競合他社にはないものです。現在では、売上の30%以上がソフトウェアモジュールによるものであり、このエリアは伸び続けています。
われわれのアプローチは統合アーキテクチャであり、すべてのプラットフォームに対して1つのアーキテクチャで対応できるという特徴があります。そのため、より早いイノベーションを実現できます。レプリケーションの分野においても他社は複数のアーキテクチャを持つ必要がありますが、われわれは統合アーキテクチャで差別化できます。これにより、1つのユーザーインターフェース、ツールセットで、シンプルに対応できるのです。
--しかし、データの爆発は続いており、ストレージがCPUやネットワークの進歩に追いつけないのではないかと危惧する人もいます。
いわゆる「Grid Storage」を巡る議論ですね。われわれはすでにその初期の段階のコンセプトを「Data ONTAP GX」として実装しています。これはスケールアウトのアプローチで、グリッドコンピューティングアーキテクチャと共通したものがあります。
いつか、データあるいはストレージに関して求められる能力は、1つのストレージシステムの限界を超えるという予測の元に、複数のストレージシステムが、あたかも1つのシステムのようにならなければならないと考えています。
そこでわれわれはこのGrid Storageの基礎として、ストレージインフラ全体に対して単一のファイルシステムのようにアクセスできるグローバルネームスペースを提供しています。これを使うことで、お客様はデータが物理的にどこに格納されていても、それを意識する必要がなくなります。動的な負荷分散を行い、場合によっては1つのファイルを複数のユニットに分散させることもできるわけです。
--今後もストレージ市場では数多くの課題が出現することが予想されます。それに対して、NetAppではどのようにアプローチしていきますか。
「Simplicity」です。これは、NetApp創業時からの哲学であり、これからも変わることはありません。