「彼ら海外のソフトウェアメーカーは世界をベースにしたマーケティングを行っていますね。我々が日本だけでやっていたら絶対勝てないわけです。世界を舞台にやらなければならないと私は考えていたし、他の皆さんもそう思っていたのです。ですから、みんな一緒に世界に行こうじゃないかということになったのです」
日本だけをベースに考えるか、世界をベースに考えるかでは、財務的な基盤も違う。このまま手をこまねいていたら、いつかは完全に海外のベンダーに日本市場を席巻されてしまう。
幸いにして、クオリティのソフトウェアは世界中に通用する。特に、知的財産権などについての意識がまだ低い中国などでは、これから必要不可欠なソフトだ。世界中で使ってもらえる条件が整っている。
浦氏がまずMIJSに求めたのは、現在オーバーシーズ・オペレーション部会が担っている日本のソフトウェア会社の海外進出だ。しかし、そのためにはきちんと各メーカーのソフトウェア同士の連携を図らなければならない。それが技術部会で行われている製品連携の取り組みなのだ。さらにその連携は、今後MIJSが目指すSaaS(Software as a Service)にも生きてくる。
「MIJSでは、ソフトウェアの提供にSaaSを考えています。どこか力の強い会社が牛耳るのではなく、みんなでソフトウェアを提供できる土台を作っていきましょうという考え方です」
MIJSが考えるSaaSはASPの進化系であり、特定メーカーの土台に乗るのではなく、各メーカーが一緒にSaaSの土台をつくるという考え方が生きている。そして、クオリティはSaaSモデルを構築するに当たって、ユーザーの「クライアントPCのセキュリティを確保する」という使命を担っている。
クオリティの社員の名刺の裏には「Think Global, Act Local」という言葉が書かれている。地域貢献を通じて世界に貢献しようという考え方だ。
「大きくいえば、企業活動を通じて民族間の対立を解消するような企業体でありたいということです。われわれの商品は基本的にどこでも作れるし、どこでも使えるものです。たとえば、今敵対している国同士でも共通して使えるものなのです。その中で、たとえば民族の対立をひとつでも解決できれば素晴らしいことだと考えています」
同社が考えるオーバーシーズ・オペレーションは、単なるMade in Japanという枠組みを越えた広がりを持っている。