しかし、こうした訴訟からは判例が生まれる。弁護士のHarvey氏は次のように語る。「こうした訴訟はこれから増えると思う。判例が増えてくれば、ライセンスやその使用方法に関してもさらに多くのことがわかってくる。最適なしくみではないが、参考にはなる」
GPLに違反しているという話はここ数年ずっと続いている。Free Software Foundationが企業にライセンスを遵守させるための取り組みを率先して行なうことも少なくない。しかし、遵守を求める活動のペースに誰もが満足しているわけではない。ドイツ人のオープンソースプログラマー、Harald Welte氏もその1人だ。
Welte氏は2005年に、「違反者は遵守しなくても最初は何も失うものはなく、FSFが出てくるのを待つだけだ」と語っている。この発言を受けて、Welte氏が関与していたオープンソースプロジェクトは独自の法的措置を開始し、そのうち何件かは好首尾を収めた。
しかし、Welte氏の例はめずらしい。プログラマーの多くは、ライセンス違反の件で企業と対決し、遠く離れた国で使い慣れない言葉で話すよりは、プログラムを書いていたいと思うに違いない。
しかし、それも変わりつつあるようだ。SFLCを通して、多くのプログラマーが請求権の行使に踏み切っている。そしてMonsoon Multimediaの事例は、FSLCが全力で戦う意志があることを示している。
「メッセージはとても明確だと思う。これまでは、SFLCはもちろん、誰もFSFの代理人としてGPL 2コードにまつわる訴訟を起こしたことはなかった。しかし今はSFLCがそれに踏み切った」と弁護士のHarvey氏は語る。「つまり、『GPLに違反しても告訴されることはないさ』と世間話することはもう許されない。今は、明らかに訴訟に持ち込まれる。人々はそのことに関心を払う必要がある」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ