こうした技術を認証することを“認証プログラム”と呼ぶが、このことについて藤枝氏は「ある技術が決められたものを守っているかどうかを判断するという“検証”“認証”は、規格を作る以上の技術」と語る。認証には、テストツールやテストでのパラメータチェックなどの作業が絶対に必要であり、そうした認証プログラムで活用されるシステムはUNIX統一などで開発される財産としては「ソースコードにして300万行以上」(藤枝氏)という膨大なものだ。
また藤枝氏は、「The Open Groupは、過去10年以上にわたってUNIXに関連した規格を守ってきました。そうしたノウハウが蓄積されることで、認証という作業をマネジメントできる人間が内部に存在しています。これがThe Open Groupの強みだと思っています」
EAの重要性
そうしたThe Open Groupの強みは、米軍との関係に象徴されている。
米軍の中枢である国防総省(Department of Defense:DoD)は1995年ころから内部の情報システムをオープン化する方針を取っている。この担当窓口である国防情報システム局(Defense Information System Agency:DISA)は、陸海空軍と統合参謀本部に対して、オープン化された情報システムの標準作成・入札・検収管理の役割を持つ、いわゆる情報システム部門だ。
新しいオープン技術動向と認証の仕事は大変で、8000人を超す大部隊だが、The Open Groupのような組織を窓口にすることで、現在から未来に向けてオープンシステムの動向や認証作業にも頼れるというメリットがDISA側にもあったし、世界のITの一組織としては最大の購買者である国防省の要求は、ITのメーカーやベンダーとしては最も無視できないものであり、ベンダーにもメリットがあるということで、この12年以上、認証も含めてタイアップしている。これは、The Open Groupが持っている認証プログラムの方法論が、他の団体には真似のできないものであるからだ。
こうしたユニークな認証プログラムの方法論を持っているThe Open Groupは、標準化の対象をソフトやプロトコルから、サービスへと移行しつつある。その第1弾となったのが「エンタープライズアーキテクチャ(Enterprise Architecture:EA)」のフレームワークの一つである「The Open Group Architecture Framework」(TOGAF=トガフ)だ。
EAは、企業なり団体なりの戦略を確認し、それに沿ってIT投資を効率的に展開していくという枠組みである。TOGAFは、そのEAの構築・活用の手法や方法論などをまとめたガイドブック的な存在と言える。