AIRはアプリケーション開発の流れを支配できるか--アドビのウェブ技術戦略を聞く

文:Martin LaMonica 翻訳校正:吉井美有 2007年10月17日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 Adobe Systemsの将来の大きな部分が、同社のチーフソフトウェアアーキテクトであるKevin Lynchが率いるプラットフォーム事業部門の仕事の成果にかかっている。

 だが、そのプレッシャーがかかっているのだとしても、彼はそれを表に見せていない。それどころか、彼の意見ではウェブ全体が彼を後押ししている。

 AdobeはPhotoshop、Illustrator、その他のデザインツールを含む同社のCreative Suiteのパッケージソフトウェアから多くの収益を上げている。

 将来に向けた施策として、Adobeは個人および企業向けのオンラインサービスに対する投資を拡大しようとしている。同社はウェブ開発者やウェブデザイナーを惹き付けておき、Adobeとの競争を増しつつあるMicrosoftへと移行されるのを避けたいと考えている。

 ここに、Adobeのプラットフォームグループの役割がある。同グループはAdobeの製品グループがオンラインサービスを提供し、他の企業が最新のアプリケーションを制作するための環境を設計する。

 同グループはFlexと呼ばれる洗練されたツールをウェブ開発者向けに提供している。さらに重要なのは、ウェブアプリケーションをデスクトップ上で実行可能にするクロスプラットフォームソフトウェアであるAdobe Integrated Runtime(AIR)だ。

 CNET News.comは、Adobeが主催するMax 2007カンファレンスで、2005年のMacromedia買収の際にAdobeに移ったLynch氏にインタビューを行い、ウェブ上でのAdobeの戦略と大きな賭けについて聞いた。

―カンファレンス初日の大きな発表は、Adobeがウェブ用ワープロのBuzzwordを作った企業を買収した(編集注:Virtual Ubiquityを指す。買収は日本時間10月1日に発表された)ことでした。AdobeはなぜMicrosoft Officeの存在する事業分野に参入するのですか。

 Buzzwordはわれわれが取り組んでいるランタイムの潜在能力を示す好例であり、それ自体が素晴らしいアプリケーションです。Officeの市場に入り込むというよりは、これは素晴らしいウェブアプリケーションであり、多くの潜在的な可能性と、この技術で実現できることを示してくれるものです。また、現在のアプリケーション開発がどこに向かっているかという方向性を示すよい例だと思います。

 サービスはAdobeにとって新しい事業分野です。AdobeはConnectのような、オンラインの共同作業を可能にするサービスを手がけてきています。しかし、現在われわれが取り組んでいるのは、デザイナーや開発者向けのいくつかの新しいサービスです。Shareのベータ版は、他の人と一緒に作業している文書を保存する手段を提供します。このサービスは1Gバイトの容量を提供するもので、しかも無料のサービスです。われわれはAPI(Application Programming Interface)を提供しているため、ユーザーがこのサービスを使って独自のリッチインターネットアプリケーションを作成することもできます。われわれは、これがAdobeにとっての一種の基盤システムになり、多くの他のサービスやツールがこれと連携していくだろうと考えています。もちろん、BuzzwordがShareと連携する最初のアプリケーションになり、作成する文書をShare上で共有することも、ローカルに保存することもできるようにします。

 われわれはコラボレーションアプリケーションを可能にするサービスにも取り組んでいます。音声は他の人物と生でコミュニケーションできる非常に重要な技術ですから、われわれはウェブのクライアントに音声機能を組み込むことに着手しており、開発者が極めて高品質の音声コミュニケーション機能を持つリッチインターネットアプリケーションを構築できるようにしようとしています。この仕組みのコードネームはPacificaです。

 2番目に挙げるのは、豊かなコラボレーションを可能にするものです。スクリーンやホワイトボードを誰かと共有したり、相手の映像をアプリケーションの中で見たり・・・最後の1つは、多くの意味で初めて登場するもので、Scene7と呼ばれる動的動画送信サービスです。

 映像、音声、共同作業、文書保存など、これらはすべて基盤レベルのサービスです。われわれがこの分野でまだスタートしたばかりだからです。しかし、これらのサービス群には他のサービスの基盤として多くの潜在能力があります。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
開発

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]