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僕はこうしてうつになった--心の病と戦う技術者たち(1) - (page 2)

藤本京子(編集部)

2007-10-24 18:00

 大学3年終了時の2005年春、原田さんは自分の力を試すべく、大学を休学し、1年間IT企業に勤める決心をする。その企業で原田さんは、1人きりのプロジェクトを任されることとなった。1人きりのため、仕事が思うように進まなくても原田さんは誰も相談する相手がいない。毎日夜遅くまでプロジェクトに取り組み、約2カ月が過ぎた時、原田さんは繰り返し風邪をひくようになる。

 長引く風邪が発端となり、精神的にも落ち込んだ原田さんは、いったんプロジェクトを家に持ち帰り自宅作業を続けることにする。しかし、「体調も気分も回復することはなかった。プロジェクトも結局は続けられず、会社には申し訳なかったが体調不良で会社をいったん辞めることにした」と原田さんは話す。

 原田さんは、退社後も体調回復には至らなかった。その後、双極性障害との診断を受けた原田さんは、何種類かの薬を処方されるが、副作用ばかりがひどく、病状が改善することはなかった。

 2006年には大学に復学したものの、卒業研究中にも何度か病状がひどくなり、研究ができないことも多かったと原田さんは言う。しかし、過去には真面目に勉強に取り組んでいたことが幸いし、成績トップで卒業を果たした。原田さんは、東京のITベンチャー企業に就職が決まり、2007年4月上京する。

 しかし、病気が完治したわけではなかった原田さんが再度その症状に悩まされるまで、時間はかからなかった。5月には再び風邪の連続と気分の落ち込みが続き、6月から休職状態となった。

 原田さんは早く仕事に復帰したかった。「小さな企業で、社長も周りの社員も病気に理解を示してくれた」と原田さんは述べ、会社に全く問題はなかったとしている。休職中は、「ヨガや座禅でなるべく何も考えない状態を作る」「勉強しすぎない」など、安定した状態を保持するための自分なりのルールも見い出した。その結果、2カ月の休職後に無事復職を果たした。

 張り切って復職した原田さんだったが、仕事に集中しすぎたためか、復職3日後に急激な頭痛に襲われる。その際、社長から「病気が完治した際には戻ってきてほしい」という言葉はもらったものの、最終的には退職を勧められ、原田さんはやむなく退社する。

長期間うつ病と戦ったが……

 前出の2人より長期間に渡って仕事復帰を目指していたのは、新潟県出身で30歳の中井さん(仮名)だ。

 2000年に大学を卒業した中井さんは、大手システムインテグレーターに就職した。開発現場で技術者の能力を発揮したいと考えていた中井さんだが、配属されたのは上流工程を担当する「IT戦略室」という部署だった。その部署では、新人の中井さんにほとんど仕事が与えられず、出勤してもすることがないという日々が続いた。入社1年後の2001年5月、不眠状態となった中井さんは心療内科に行き、軽いうつ病と診断される。

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