前回はGoogle Web Toolkit(GWT)の概要と、これを用いたアプリケーション構築の全体的な流れを紹介した。今回は、GWTのコマンドによってアプリケーションの雛形を生成し、それを実行してみることにしよう。
GWTモジュールの展開
GWTのモジュールは、「Google Web Toolkit Release Archive」から、Windows、Mac OS X、Linuxの各プラットフォームに対応したものをダウンロードできる。いずれも圧縮形式なので、これを展開すると同名のルートフォルダが生成され、その中にさまざまなファイルが生成される。ここでは生成されたルートフォルダを「%GWT_HOME%」とする。
GWTの実行環境として、J2SE1.4.2以上のJDKとWebブラウザが必要だ。そしてWebブラウザは、CSSとJavaScriptの実行を有効にしておかなくてはならないのは、前回述べたとおりだ。
アプリケーションの雛形を生成
アプリケーションの雛形を生成するために用いるのは、%GWT_HOME%の中にあるapplicationCreatorというコマンドだ。引数とオプションの指定は以下の通り。
applicationCreator (-eclipse プロジェクト名) (-out ディレクトリ名) (-overwrite|-ignore) クラス名
- 引数
- クラス名:パッケージ名に"client"を含める必要がある。
- オプション
- -eclipse プロジェクト名:Eclipseプロジェクト(launchファイル)を生成
- -out ディレクトリ名:雛形を生成するディレクトリ
- -overwrite:同名のファイルが存在していても、すべて上書き
- -ignore:同名のファイルが存在したら上書きしない
リスト1は、example1というディレクトリにgwt.example1.client.GWTExample1というクラス名で、アプリケーションを生成した例だ。これによると、4つのディレクトリと6つのファイルが生成されていることが分かる。注意すべきなのは、コマンド引数となるクラス名には"client"を含めないと、エラーメッセージが出力されてアプリケーションが生成されないということだ。
リスト1 アプリケーションの雛形の生成例(ドライブ名など一部省略)
%GWT_HOME%> applicationCreator -eclipse GWTExample1 -out example1 gwt.example1.client.GWTExample1
Created directory example1\src
Created directory example1\src\gwt\example1
Created directory example1\src\gwt\example1\client ← クライアント(Webコンテンツ)側のJavaアプリケーション用
Created directory example1\src\gwt\example1\public ← HTMLやCSSなどのWebコンテンツ用
Created file example1\src\gwt\example1\GWTExample1.gwt.xml ← 設定ファイル
Created file example1\src\gwt\example1\public\GWTExample1.html ← レイアウトとスタイルシート(CSS)が記述されたHTML
Created file example1\src\gwt\example1\client\GWTExample1.java ← クライアント(Webコンテンツ)側のJavaアプリケーション
Created file example1\GWTExample1.launch ← Eclipseプロジェクトの設定
Created file example1\GWTExample1-shell.cmd ← hosted modeによる実行コマンド
Created file example1\GWTExample1-compile.cmd ← web modeによる実行コマンド