MIJS企業訪問(第14回)チェンジビジョン--生産現場のノウハウを世界のソフト開発の現場へ - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2007-10-31 12:00

 「JUDEは今年一年で、さらに1万本は行くでしょう。これまでにフリーのバージョンも出していたのですが、これはすでに20万本出ていて、その半数は海外です。事業は計画通り順調に進んでいます」という状況だ。受託開発から脱皮したいという願いはかないつつある。

 「受託開発では、ソフト開発者が自分のオリジナリティやアイデアを入れることがなかなかできません。一方で、今デスクトップ上に載っているソフトはほとんどが海外製ですね。ですからデスクトップに載るような汎用のアプリケーションで、日本人のオリジナリティのあるものを海外に出していきたいというのが私の夢なのです。MIJSの他のメンバーの方々も、受託開発以外のソフト開発の道を探っていらっしゃると思いますので、同じ思いを共有していると思います」

 受託開発からアイデア主体の製品開発、オリジナル製品開発へ移行したいというのが平鍋氏の願い。実は、そのためのアドバンテージとして平鍋氏が上げているのが、日本の生産現場のノウハウだ。

 「私がTRICHORDでやろうとしているのは生産革新の考え方。トヨタの生産方式ですね。この考えをソフトウェア開発に持ち込みたいのです」

 平鍋氏はアジャイル開発の実践と普及活動で知られる一方、翻訳の世界でも数々の実績がある。もちろん、アジャイル開発やXPなど、チーム重視型の開発手法に関する本は多く手がけているが、「トヨタ生産方式」をソフトウェア開発にもちこんだ「リーン・ソフトウェア開発」なども翻訳。著者のMary Poppendieck氏とともに海外でのソフト開発者を対象にしたカンファレンスでも発表している。当然同社の製品にもそれは反映されている。

 「TRICHORDで作業の現場の様子を見たり、それをエンジニアが共有したりというやり方は、トヨタ生産方式からたくさんアイデアをもらっています。たとえば“プル生産”という、部品を後工程に流すのではなく、反対に後工程から必要なものを取りに行くという考えがトヨタ生産方式にあります。中間の仕掛品を在庫ととらえて最小限に抑えるのです。TRICHORDでも、開発の中間生成物を多く作るのではなく、欲しいものを定義して、それを満たすソフトウェアを開発するという考え方などを取り入れています」

3Kを3Tに変える

 MIJSでは、特にオーバーシーズの部会で活動している。平行して、すでにチェンジビジョンは海外でマーケティング活動を行っており、海外でのソフト開発の展示会などに出展した経験もある。またこうした展示会では平鍋氏自身が、アジャイル・コンサルタントとしてスピーカーを務めたりもしている。

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